クラファンは「子がお金を学ぶ」とっておきの教材 「仕組みとリスク」の理解こそ投資教育に必須

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例えばみなさんの時代には、まだ終身雇用の名残があるので、定年まで会社に勤めるという人も多いでしょう。けれど子どもたちが働くこれからの時代は、正社員と非正規社員という区別はなく、パートタイムで働くかフルタイムで働くかの違いがあるだけで、ノルマが果たせないとすぐにクビになるというアメリカのような状況になっているかもしれません。

また、結婚してもあたりまえに離婚し、連れ子を持つ者同士で再婚して家族になるという家族形態が多数になっているかもしれません。

さらに、ほとんどの支払いは現金でもカードでもなく、スマホという時代になって、「ピッ!」と鳴れば支払い完了が普通という時代になっていることでしょう。こうして、世の中はどんどん変わっていきます。

ちなみに今から約20年前までは、株を買う時に証券会社に電話すると、証券取引所で、証券マンが手でサインを送りながら株を売ったり買ったりしていました。けれど、1999年4月からはこうした「場立ち」の取引はなくなり、今ではほとんどの人がプロと同じ土俵で株をインターネットで売り買いしています。

こうした世の中を生きていく子どもたちには、「リスクをとる」という感覚が必要で、そのリスク回避の方法の1つとして、「投資教育」が必要なのです。ただ、「投資教育」といっても、目先の「儲かる投資方法」などは学んでも無意味。変化の大きな時代には、投資の本質を教えてあげたほうが役に立ちます。

投資の本質を学ぶのには、まず危険性や失敗を学ぶこと。「儲け」でなく「リスク」を学ぶほうが、長い目で見ると失敗が少なく、成功しやすいからです。

クラウドファンディングは絶好の社会勉強

投資をしたいなら、まずは幾ばくかのお金を動かしてみることです。

お金を動かすというと思い浮かぶのが株式投資ですが、子どもに『会社四季報』を読んで会社に投資させるというのは難しいし、もしかしたら「投資」ではなく、一攫千金を狙う「投機」になってしまう危険性もあります。

そうなると、将来はギャンブラーということになってしまうかもしれません。ですから、個人的には株式投資の手法を教える前に、「投資が社会をよくする」というところからスタートして、投資のなんたるかを教えたほうが、将来的には投資の本質に近づけるのではないかと思います。

例えば、クラウドファンディング。クラウドファンディングというのは、「Crowd(群衆)」と「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語で、自分の店をオープンしたいとか、イベントを開催したい、新商品を売りたいなど、さまざまな夢があるのに資金がないという人が、趣旨を説明して出資者を募り自分の夢を実現するというものです。

古くは、僧侶が寺を建て直すため、たくさんの家を回って信者に費用を寄進してもらったのも、クラウドファンディングにあたります。また、すっかり庶民生活に定着した「ふるさと納税」も、広い意味でのクラウドファンディングです。

今は、インターネットでさまざまなクラウドファンディングのマッチングサイトが立ち上がっていますから、こうしたものの中から、人の役に立って、成功したら見返りも期待できるというものを、子どもと一緒にチェックしてみてはどうでしょう。

東日本大震災のあと、津波で流されてしまった牡蠣の養殖筏を再開するため、クラウドファンディングで出資を募り、再出発した後は毎年、収獲された牡蠣を送っている漁師もいます。

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