三菱自動車の株主総会、「株価低迷と無配は骨の髄までわかっている」との回答場面も

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三菱自動車の株主総会、「株価低迷と無配は骨の髄までわかっている」との回答場面も

三菱自動車は23日、株主総会を開催した。リーマンショック後の大幅な景気後退下でも営業黒字は維持したものの、他社に先駆けて発売した電気自動車「i−MiEV(アイミーブ)」による期待感も今や薄れ、株価の低迷は長期化している。

総会では、個人株主から株価の低迷や10年以上無配が続くこと、経営陣の責任を問う質問のほか、縮小する国内販売に対して懸念を示す声も相次いだ。

度々株価と配当に関する責任を追及され、「株価を上げろ、配当も早くしろ、というご指摘は骨の髄までよくわかっているつもりです。ひとこと、がんばります」(市川秀・副社長)といった回答をする場面もあった。

会社側は「中期経営計画で掲げた数字の達成には程遠いが、収益基盤強化という方針は変わらない」としているが、株主にとって辛抱の時期は続きそうだ。

三菱自動車が資本政策として抱える最大の問題は、優先株の扱いだ。三菱グループ各社が中心に引き受ける優先株は43.7万株。1株100万円の額面なので4375億円の価額となるが、この金額は同社の過去最高純益(03年3月期の347億円)を10年以上継続しなければ、自力での買い取りは困難な水準。かといって、仮に優先株すべてが普通株に転換されれば、同社の発行済み株数55億株(4月末)に対し、市場に40億株以上が放出され、希薄化が一気に進行する。

現行の中期経営計画では優先株処理の方針は見送られたが、12月に発表される次の中計では、今度こそ優先株の処理に何らかの方針が示されそうだ。益子修社長は、「週刊東洋経済」のインタビューに「優先株の処理は最大の課題。優先株を処理して、一般株主に配当できるようになって、初めて経営再建となる」と答えていることからも、経営再建の仕上げのためには重要なステップとなる。

優先株の処理方法としては、自社で一部を買い取り消却するか、優先株の普通株転換を受け入れる、または資本提携まで秒読みとみられる仏プジョーシトロエンによる買い取りなど、いくつかの方法が考えられるが、株主価値を毀損する可能性も高そうだ。

(松浦 大 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2010.03  1,445,616 13,920 12,980 4,758
連本2011.03予 1,800,000 35,000 20,000 5,000
連本2012.03予 2,100,000 50,000 35,000 15,000
連中2009.09  573,029 -32,502 -34,189 -36,404
連中2010.09予 715,000 5,000 0 -9,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2010.03  0.9 0 
連本2011.03予 0.9 0 
連本2012.03予 2.7 0 
連中2009.09  -6.6 0 
連中2010.09予 -1.6 0 
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