直列3気筒エンジンは、軽自動車での運転感覚のように、細かな振動をつねに感じやすく、また燃焼も4気筒に比べて気筒ごとの間隔が広いので、頼りなさ気で軽薄な印象を与えやすい。
しかし、ゴルフ8の1.0Lガソリンターボエンジンはそうした気配を覚えさせない。より車両重量の重いステーションワゴンのヴァリアントとなると、車両重量はさらに50kg重くなり、エンジンへの負荷が大きくなるはずだが、発進から日常的な走行速度域まで動力性能に何ら不足はなく、3気筒ならではの振動や騒音にも気づかせなかった。これには、驚かされた。
なぜゴルフ8は、3気筒でこれほどまで不足のないエンジン性能を実現しているのか。詳細は別の記事にて解説するが、エンジンの総合的な調和と、48Vによって作動するISGの発進や低速でのモーター駆動力の補助、また低回転から機能するターボチャージャーの制御、さらには巡行走行になったとき自動的にエンジンを停止する機能などを統合制御することで実現している。
軽自動車より上級の3ナンバー小型車において、フォルクスワーゲンが「ゴルフ」という価値を損なわないよう仕立てると、見違える性能を発揮することに感動を覚えた。
車幅が小さくなり、明らかに扱いやすくなった車体
さて、マイルドハイブリッドの話が長くなったが、そのほかの点について、まず車体寸法のうち車幅が1cmとはいえ狭まった。フォルクスワーゲングループジャパン広報によれば、「とくに意図したわけではなく、結果的に幅は狭くなった」との回答だったが、近年、世界的に新車が登場するたびに車体の大型化が行われ、車庫入れはもちろん、すれ違いなどでも気遣いを要する場合が多いが、そろそろ新車は大きくなっていくという価値観が限界を迎えたのではないか。フランスのルノーも小型車の「ルーテシア」で車体の小型化を行っている。
ゴルフ8はまた、前方視界が改善され、ダッシュボード上面の形状がより平らな造形となり、フロントピラーとフロントウィンドウの接点となる下端の角に丸みがなくなり、端までくっきり視界が確保されたことなども効果を上げているようだ。車幅感覚が前型のゴルフ7に比べ掴みやすくなり、同じ道をゴルフ7で運転したときより、ゴルフ8のほうが左側のガードレールを気にせず運転できた。高速性能も高いゴルフだが、日常的に市街地を運転する機会も多い小型車として、運転のしやすさが改善されている。
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