米国が金融引き締めても日銀は金融政策調整せず

日銀の目標は「2%の物価安定」と若田部副総裁

 日本銀行の若田部昌澄副総裁は1日、米国の金融引き締めを理由に日銀は金融政策の調整を行わないとの見解を示した。オンライン形式で行われた広島県金融経済懇談会で講演した。

若田部氏は、仮に米国の物価上昇率が目標の2%を超えて平均インフレ率目標も実現され、「金融引き締め局面に入ったとしても、それを理由として日本銀行が金融政策を調整することはない」と主張した。日銀の目標は「あくまで2%の物価安定の目標を安定的に達成することだ」と語った。

インフレが高水準で推移する米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が先月27日のジャクソンホール会合で、年内の債券購入のテーパリング(段階的縮小)開始を表明した。利上げの開始は急がない方針を同時に示したものの、今後の米国の金融引き締めペースに市場の関心が集まっている。

日本の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)はマイナス圏で推移しているが、世界的な需要の回復などで国際商品市況は上昇している。

若田部氏は日銀がコアCPIだけをみて政策を判断している訳ではないとし、「国内需要の持続的な拡大がない限り、コストプッシュ要因だけで持続的なインフレになることはない」と説明。目先のコアCPIの動きを基に「時期尚早に緩和的な金融環境を引き締めないことが肝要だ」と語った。

コロナショックからの日本経済の回復には「ワクチン接種の一段の進捗(しんちょく)などにより、個人消費低迷を脱することが何よりも重要だ」と指摘した。外出制限や給付金の支給などで積み上がった家計部門の待機資金の動向が「極めて重要な鍵を握る」との見方を示した。

(日本経済に関する発言などを追加して更新しました)

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著者:伊藤純夫

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