「部下からの評価が低かった」自分が変われた理由 マネジャーを超えるリーダーのインテグリティ
カーニーでは、個々の力量をチームの力として最大化できていないと気づいたのは、パートナーが集まった会議などでも、各人からクライアントの話が出なかったからです。
「この会社はこの問題があるよね」
「今この業界はこういうふうになっているんですよ」
という話が出てこない。クライアントの状況を共有しない。一人ひとりが自分のクライアントを囲い込んで独り占めする、いわば「たこつぼ」に入っている状態です。これは変えたほうがいいと直観しました。
アウトプットが足し算から掛け算にならない
ある仕事を一人のパートナーが抱え込み、新しいテーマに詳しいほかのパートナーがいたとしても、その人をクライアントの前に呼ばないとなると、どうなるか。せっかくあるテーマでよい仕事をしても、別のテーマではほかのファームにコンペで負けてしまう。
結果として焼き畑農業というか、今年はこの会社の仕事をして、来年は別の会社の仕事をして、というようなパートナーもいました。しかしそれではパートナー個々人の業績目標は達成できたとしても、クライアントとの関係は太くなっていきません。
一人では、どんなに活躍してもアウトプット(成果)は「足し算」でしかありません。「掛け算」にならない。カーニーの本当に力がある人たちが組めば、おそらくジャズの即興演奏のようなことができる。それは面白いのではないかと思いました。
社長の前で説明しているとき、思いもかけない質問をされて、一人では答えられないときがあります。言葉に詰まったとき、その場に仲間がいれば、考えをまとめるまで一分間ぐらい何かしゃべって、場をつないでくれることも期待できるでしょう。
コンサルティングファームは、昔はどこも独立したパートナーの集団という色が濃かったと思いますが、今は「ファームとして何ができるか」という勝負になっています。これは日本でもグローバルでも同じです。どんな課題が来ても、複数のパートナーが協力して、チームとしてベストな解答を出すというイメージです。
カーニーはなんとなくまだオールドファッションの趣が強いな、という気がしたので、集団戦の強さも発揮できるようにしました。しかし、なかなか言ったとおりには変わらない。とくに抵抗が大きかったのは、「クライアントを囲い込まない」という部分でした。
私は、かつてブーズで、日本にいたオランダ人のパートナーから、
「the more you share, the more your client will be benefitted」と言われた話をしました。
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