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「個人の支援」がスタートアップを元気にする 「エンジェル投資」と「クラウドファンディング」

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  • 石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官
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金融庁ではこれを受けて投資型クラウドファンディングの利用促進を図るべく、金融商品取引法を改正しています。これは、従前、第一種金融取引業者(株式投資)、第二種金融取引業者(ファンド投資)の要件を満たさないとできなかった投資型クラウドファンディングを一定のルールの下に規制緩和するというものです。

具体的には、以下のとおりです。

○募集総額1億円未満、1人あたりの投資額50万円以下の案件のみを扱う業者(少額一種業者、少額二種業者)については、登録に必要な最低資本金基準を引き下げる(一種5000万円→少額一種 1000万円、少額二種1000万円→500万円)。
○少額一種業者に兼業規制をかけない(二種業者には元々兼業規制はかかっていません)
○少額一種業者に非上場株式の勧誘をできるようにする(現在は日証協の自主規制ルールにより非上場株式の勧誘が禁止されています)


 一方で、悪徳業者による被害が出ないよう、投資家保護のためのルールとして、クラウドファンディング業者に対して、ネットを通じた適切な情報提供やベンチャー企業等の事業内容のチェックの義務付けをしています。

新たなファイナンス手段の普及に向けて

ベンチャー支援で有名な森・濱田松本法律事務所の増島雅和弁護士は、「金融商品取引法の改正によってクラウドファンディングの選択肢が増える。エンジェル税制との組み合わせなどで起業のための新しいファイナンス手法として活用が広がる可能性がある」と語ります。

実際、エンジェル税制の利用例で、地域の名産品の加工食品を事業化するために、地域住民からの株式投資で1000万円を調達したケースがあります。この事例では、事業の趣旨を住民に呼びかけて出資者を集め、議決権を制限した種類株式で株主になってもらうことで、経営権限が分散しないで資金調達し、機動的に経営できる仕組みにしています。

インターネットによる幅広い募集、種類株式による機動的なオーナーシップ形態、エンジェル税制による投資インセンティブのパッケージで新しい地域資源活用型の起業ファイナンスができる可能性があります。

エンジェル投資、クラウドファンディングは、起業家の資金調達を助ける金融の手段ですが、融資やベンチャーキャピタルの投資と比較して、金銭的なリターン以外のリターンの位置づけがより強く出るファイナンス方法だと思います。「後輩経営者を応援する」、「地域を元気にする」、「社会を良くしたい」、といった投資家の「想い」や「共感」が起点になり、投資家自身による応援も加わり、「新しい価値」の実現・発展を促進します。資金の提供の目的が必ずしも配当やキャピタルゲインのみでなく、新しい取組や社会的課題の解決に関与・貢献することをリターンと考える投資家がその担い手となります。

融資やベンチャーキャピタル投資を受けることがむずかしい起業家、地域資源を活用しようとする起業家、社会的課題を解決しようとする起業家等にとって、有効な資金調達手段となると考えられます。

一方で、このようなファイナンスに関しては、起業家と投資家の間で、しっかりとした合意形成や契約をすることで、トラブルの未然防止を図ることが肝要ですし、悪用、詐欺的な業者が出てくることも想定しなければなりません。制度のPRや活用促進を図りつつ、悪用防止の視点ももって、健全な投資環境を整備するべきです。

エンジェル投資、クラウドファンディングにより、「想い」や「共感」を起点とした新しいファンディングの地平が開かれることを期待し、金融庁と連携しつつしっかりと支援したいと考えています。

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