アフガン撤退「バイデン大統領」は何を語ったか バイデン大統領のスピーチを全文掲載

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私はこの決断に確固とした信念をもっている。20年を経た現在、私が身をもって学んだのは、アメリカ軍を撤退させるための適切な時期などないということだ。だからこそわれわれは今なおここにいるのだ。われわれはリスクを明確にした。あらゆる不測の事態に備えた。しかし、私はアメリカ国民に対して、つねに率直に伝えることを約束してきた。

真相としては、今回の事態はわれわれが予測したよりも素早く展開したということだ。つまり、何が起きたのか。アフガニスタンの政治指導者たちは国を投げ出して逃亡した。アフガニスタン軍は崩壊し、時には戦おうともしなかった。言うなれば、この1週間の展開が、今こそアフガニスタンへのアメリカ軍の関与を終結させるべきとの決断を強化したということだ。

アフガニスタン軍にはいろいろ与えてきた

アメリカ軍部隊は、アフガニスタン軍が自分たちのために戦おうとしない戦争で、戦って死ぬことはできないし、そうすべきでもない。われわれは1兆ドル以上を費やした。約30万人のアフガニスタン軍を訓練と装備で増強した。信じられないレベルの装備を、われわれNATO同盟諸国の多くの軍よりも大規模な軍隊に対して施した。

彼らに必要となるあらゆるツールを与えた。給与を支払い、空軍の維持管理を供給したが、こうしたことはタリバンにはできないこともある。タリバンには空軍がない。われわれは空軍に綿密なサポートを提供した。彼らに自分たちの未来を決定するためのあらゆるチャンスを与えた。彼らに与えることができないのは、その未来のために戦う意志だ。

アフガニスタン人には、非常に勇敢で有能な特殊部隊や兵士たちも存在する。しかし、アフガニスタン人が今、タリバンに対して本当の意味での抵抗を始めることができないのであれば、アメリカ軍が今後1年、5年、20年駐留したところで、何ら変化を起こすことはないだろう。

私が確信していること。それは、アフガニスタン自身の軍隊が戦わないのに、アメリカ軍に戦うように命令するのは間違っているということだ。アフガニスタンの政治指導者たちは、国民のために団結することができず、いざというときに、国の将来のために交渉することもしなかった。

アメリカ軍が彼らのために戦闘の矢面に立ち、アフガニスタンに留まっている間も、彼らはなにもしなかったのだ。真の戦略的競争相手である中国とロシアは、アメリカが何十億ドルもの資源と関心をいつまでもアフガニスタンの安定化に注ぎ続けることを、何よりも望んでいることだろう。

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