アフガン撤退「バイデン大統領」は何を語ったか バイデン大統領のスピーチを全文掲載
私は長年、われわれの使命について、対暴動対策や国家建設ではなく、テロ対策という狭い範囲に集中させるべきであると訴えてきた。そうした理由から私は、副大統領だった2009年に提案されたアメリカ軍の増兵に反対した。だからこそ私は、現在は大統領として、過去ではなく、2021年のいま直面する脅威に集中する覚悟だ。
今日、テロの脅威はアフガニスタン以外にも広がっている。ソマリアのアル・シャバブ、アラビア半島のアルカイダ、シリアのアル・ヌスラ、そしてシリアとイラクにカリフ制を築こうとしているISIS、さらにアフリカとアジアの複数の国に関連組織を設立している。
これらの脅威は、われわれの注意と資源を必要とする。われわれは、恒久的な軍の駐留がない複数の国で、テロリストグループに対する効果的な対テロ作戦を実施している。必要であれば、アフガニスタンでも同様の活動を行う。
われわれは、これらの地域におけるアメリカへの直接的な脅威にしっかりと目を向け、必要に応じて迅速かつ、断固とした行動を取ることができるよう、将来を見越した対テロ能力を開発した。
トランプ大統領とタリバンの契約を踏襲した
就任時に、私は(ドナルド)トランプ前大統領がタリバンと交渉した契約を継承した。トランプ前大統領の合意では、アメリカ軍は2021年5月1日までにアフガニスタンから撤退することになっていたが、これは私が就任してからわずか3カ月あまりのことだった。駐留アメリカ軍はトランプ政権下ですでに、およそ1万5500人から2500人へと縮小していました。また、タリバンは2001年以来、軍事的に最も強い状態にありました。
私が大統領として選択しなければならなかったのは、この合意を実行するか、それとも春の戦闘の季節中にタリバンとの戦いに戻る覚悟をするかということだった。5月1日以降に停戦はありえなかった。5月1日以降、われわれの軍隊を保護する合意もなかった。5月1日以降、アメリカ人の犠牲者が出ない安定した状況もなかった。
そこにあるのは、軍の撤退という合意に従うか、紛争を拡大して数千人のアメリカ軍を再びアフガニスタンの戦闘に送り込み、紛争の30年目に突入するか、という冷酷な現実だった。