横浜市長選、菅政権の命運をも左右する「大混戦」

再側近・小此木氏敗北なら「菅降ろし」加速へ

菅義偉首相(右)の側近で、横浜市長選に出馬した小此木八郎・前国土強靭化担当相(中央)。写真は2020年12月撮影(写真:時事)

横浜港へのカジノを軸とする統合的リゾート(IR)誘致の可否を最大の争点とする横浜市長選(8日告示・22日投開票)が予想を超える大接戦となっている。

過去最多の8人が出馬し、ともに誘致に反対する自民系と主要野党系有力2候補と、推進を掲げる現職による三つ巴の競り合いとなっているからだ。

コロナ感染爆発で苦境に陥る菅義偉首相は、側近でもある自民系候補を全面支援。事実上の与野党対決で側近が敗れれば、「菅首相では選挙が戦えない」との声が噴き出し、衆院選と総裁選が絡み合う9月の大政局を前に、自民党内の「菅降ろし」が起きかねない状況だ。

菅首相の地元で最側近が立候補

任期満了に伴う今回の横浜市長選に立候補したのは、届け出順に元横浜市議の太田正孝氏(75)、元長野県知事の田中康夫氏(65)、前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)、水産仲卸会社経営の坪倉良和氏(70)、元衆院議員の福田峰之氏(57)、元横浜市大学教授の山中竹春氏(48)、現横浜市長の林文子氏(75)、元神奈川県知事の松沢成文氏(63)の8人。いずれも無所属だが、立憲民主党が山中氏を推薦している。

立候補の顔ぶれをみると、「3強」とされる小此木、山中、林氏のほか、松沢、田中両氏は知事経験者で福田氏は元国会議員だ。一定の知名度と政治家としての実績を持つ候補が多く、「誰も総投票数の4分の1という法定得票数を超えられず、再選挙になりかねない」(選挙アナリスト)との見方も出る大混戦となっている。

選挙戦の舞台となる横浜市は同市議出身の菅首相の地元で、IRは観光振興のため、菅首相が官房長官時代から推進してきた肝煎りの事業だ。ところが、自らの弟分で側近中の側近だった小此木氏が国家公安委員長を辞任してIR誘致反対で立候補。菅首相も小此木氏の全面支援を表明するという「政治的変節」(自民市連幹部)の中での選挙となった。

情勢は、与党系の小此木、主要野党系の山中両氏が他の誘致反対候補と票を取り合う一方、自民党の多選反対による不支持決定を押し切って出馬した林氏が誘致を望む市財界などの支援を受け、4選をうかがっている。横浜政財界の利害が入り乱れた複雑怪奇な構図となっている。

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