パラノイアの勝利! 半導体加工技術で独走する《戦うNo.1技術》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 ディスコのダイシングブレード(ダイヤモンド粉を含有した切断用砥石)は、ダイヤの種類で11種類、含有量の違いで5種類。それぞれ異なる刃の長さや厚みなど、合計すると数万種類に及ぶ。切断装置(ダイシングソー)は主要なものだけで13種類。顧客の要望に合わせて、最適な切り方を実現できるブレードと装置を提供してきたことの結果だ。

本社ビル4階には、世界中から半導体メーカーの技術者が訪れる「アプリケーションラボ」がある。77部屋のラボと50台以上の装置、3000種類の砥石が用意されており、約70名の専任エンジニアが顧客の持ち込む加工実験(テストカット)を年1000件以上行っている。テストカットは同業他社も行っているが、自社開発の砥石を用意できるのはディスコだけだ。テストカットは原則無償。「いち早く顧客のニーズを相談してもらい、研究開発につなげていく」(アプリケーション開発本部の原田成規氏)狙いがある。

顧客の要望から生まれた技術は、大半が既存技術の細かな改善だ。たとえば、割れたウエハでも切断できる位置決め技術や新しい固定方法の導入。コンマ2マイクロメートルのパーティクル(切りくず)除去を求められたときには、洗浄機構の工夫と同時に、パーティクル自体がウエハ側に飛ばない工夫を装置側に凝らした。

だが、そうした改善目的の技術が、まったく新しい製造プロセスの開発へとつながることもある。

半導体の小型化が進んだ結果、ウエハの厚さは5マイクロメートルまで削られることがある。ペラペラのシート状態だと搬送や切断が難しいため、裏面処理を必要とするウエハの場合、あらかじめガラス基板やテープなどサポート材を接着して加工し、後に剥がす手法が一般的。だが、この手法ではプロセスが煩雑化するため、顧客から改善できないかとの要望が強かった。実験を繰り返した末、ウエハの外周から3ミリメートル程度研削せずに残し、内側のみを薄化する技術をついに開発。名づけて「TAIKO(太鼓)プロセス」。ウエハの強度を保ったまま薄化することを可能にした。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事