パラノイアの勝利! 半導体加工技術で独走する《戦うNo.1技術》

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他流試合のレーザー装置 懸念はね返し地力を発揮

1937年に「第一製砥所」として創業したディスコは、砥石の技術を磨き込んできた会社だ。

関家一馬社長自らそう呼ぶ「砥石屋」で今、最も成長著しいのが、レーザーを使った切断装置である。が、肝心のレーザーの光学系部品は自社で手掛けていない。たとえば高輝度LED用サファイアウエハの加工で使われるステルスダイシング装置(レーザーでウエハ表面に傷をつけずに内部を改質し、チップの分割を行う技術)の光学系部品は、浜松ホトニクスに依存する。同社との提携はライバル・東京精密の後塵を拝すること5年、07年に始まった。「レーザー切断装置では、ディスコの強みがなくなってしまうという懸念があった」(半導体製造装置業界に詳しい、野村証券金融経済研究所の和田木哲哉シニアアナリスト)。

が、ふたを開けてみれば、液晶テレビや照明などへ用途が広がっている高輝度LEDの加工用に需要が急拡大、10年3月期のレーザー切断装置の売り上げは、前年度比2・5倍になった。「レーザーでもディスコは強かった」(同氏)のだ。

なぜ、レーザーでも強さは揺るがなかったのか。関家社長は「レーザー切断装置とダイシングソーの技術の7割は共通。ならば、ディスコが負けるはずはない」と断言する。

レーザーは間違いなく切断装置の中核部品。だが、それが装置の出来を決定するわけではない。壊れやすいウエハの搬送、ウエハの正確な位置決めに必要な画像処理など、脇を固める技術の大半をディスコはダイシングソーで蓄積しているのだ。

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