都心で進む「ウォーキングロード計画」の中身 廃線から30年、晴海橋梁が生まれ変わる?

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都はこうした再開発について「地域の歴史の一端を担ってきた高架自動車道をレガシーとして引き継いだ高架施設が、高架下や周囲の施設との間で、『見る・見られる』の新たな関係を創り出し、新たな人の流れやにぎわい・交流を誘発する」という計画の狙いを明らかにしている。

もちろん、これらの都の事業は相互に関連するため、すべてが整う完成時期は確定していない。しかし、2030年代末ごろには、その活用が始まっているだろう。

築地から浜離宮、竹芝へ誘導

まだ具体的な報道はないが「築地・竹芝間歩行者ネットワーク」の構想から、その中身について紹介していこう。

今は築地市場跡地の再開発に合わせ、事業に着手したばかりだが、都はこの構想によって、築地市場跡地のスーパー堤防やテラス、浜離宮の防潮堤を遊歩道化し、竹芝に誘導することを狙う。

築地周辺部をつなぐ歩行者ネットワーク形成としては、このほかにもスーパー堤防、防潮堤の活用が検討されている。これは「築地周辺の歴史資産や文化資産、特徴ある地域を結び付け、連携を強化することができるよう、楽しく周遊できる歩行者のネットワークなどを形成する」(都の築地まちづくり方針)ことが目的とされる。

築地市場跡地(写真:立木 信)

旧築地市場の南西側には浜離宮恩賜庭園、竹芝地区や浜松町の再開発が進む。北側には、築地本願寺や歌舞伎座、新橋演舞場があり、現在、聖路加国際病院がある中央区明石町周辺は、明治維新直後は外国人の居住区域、いわゆる外国人居留地だったこともあって、歴史や文化的資源がある地域でもある。

そこで都は「こうした周辺のさまざまな資源とのつながりを重視し、より価値を高めていくため、歩行者の回遊性を高める必要がある」として、この夏から築地市場跡地の隅田川に面するスーパー堤防の前段の既存の桟橋等の撤去工事を進めている。

新設するスーパー堤防の前面は、観光名所になるように、通常より幅が広いテラスを設ける。これらのスーパー堤防の本格工事は、後背地の開発に合わせて、一体的に整備される計画だ。

都内で進められる歩行者ネットワーク ※グレーの箇所が歩行者ネットワーク(図:ウチコミ!タイムズ編集部作成)

浜離宮恩賜庭園南東側の防潮堤には、周遊船が通過できる水門が2つある。この水門は水上バスの船着き場へとつながり、工事後も浜離宮への横づけを続けるなら、水門と遊歩道の両立、場合によっては遊歩道のルート変更も必要となる。

遊歩道化される浜離宮庭園前の防潮堤(写真:立木 信)

もともと浜離宮は徳川将軍の鴨狩り場で、茶室などもあったところだ。今はその背後には汐留(旧国鉄用地)の再開発で高層ビルが林立している。海側から見ると手前に江戸時代を思わせる景色、そして背後には高層ビル群の景色といった、昔と今のコントラストが如実にあらわれる場所だ。

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