熱狂からの怒涛の再編「ネットメディア」の黄昏 「バズフィード」上場計画の裏に苦しい経営事情
新聞や雑誌の廃刊、破綻がアメリカ全土で相次ぐ中、バズフィード(BuzzFeed)など急成長する一部のウェブメディアは少し前までニュースビジネスの未来のように見えていた。
ヴォックス・メディア(Vox Media)、ヴァイス・メディア(Vice Media)、グループ・ナイン(Group Nine)といったデジタル時代の新興メディアの企業価値は、投資家が多額の資金を注ぎ込んだことから急上昇。資金調達を行うたびに、創業者たちはウイニングランを飾った。
その熱狂の土台には、「成功間違いなし」とされた、あるビジネスモデルが存在した。ウェブ上で無料のコンテンツを提供すれば、若い読者とつながりたい広告主からお金が流れ込む、というものだ。
ところが状況は、今や完全に逆転した。
老舗メディアに追い抜かれたデジタルの寵児
デジタルジャーナリズムに力を入れるワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルは、オンラインコンテンツを有料化する戦略で成功を収めている。ウェブメディアで活躍していた有力なジャーナリストも、こうした老舗報道機関に移籍するケースが少なくない。投資家はウェブメディアが盛り上がっていたころに投資した資金のリターンを迫るようになった。
さらにオンライン広告市場では、フェイスブックやグーグルといった圧倒的大企業が広告収入の大部分をかっさらっている。バズフィード、ヴォックス・メディア、ヴァイス・メディア、グループ・ナインは、かつての地位を取り戻し、こうした巨大な相手と競争していくため、このところ合併や買収で規模の拡大を進めるようになっている。