熱狂からの怒涛の再編「ネットメディア」の黄昏 「バズフィード」上場計画の裏に苦しい経営事情
そして、もう一方の極を成すのは、ジ・インフォメーション、インサイダー、アクシオスなどのエッジの効いたメディア。ターゲットを絞り込み、小規模ながらも極めて熱心な読者の特別な関心に応えるコンテンツを手がけている。
両極に挟まれた中間の展望は暗い。一般読者を相手にするバズフィード、ヴァイス・メディア、ヴォックス・メディア、グループ・ナインは、読者を老舗メディアと奪い合い、さらに広告収入をフェイスブックやグーグルと奪い合うという難しい競争にさらされている。
「圧倒的な規模か、ニッチで特別な市場における支配力。そのどちらかが欠かせない」とアクシオスのジム・バンデヘイ最高経営責任者(CEO)は電子メールで述べた。「道路のまん中には、いつだって車にひき殺された動物の死体が転がっているものだ」。
明確な読者層にクオリティーの高いコンテンツを
アクシオスの売上高の大部分はスポンサー契約によるものだが、同社に詳しい2人の消息筋によると、今年上半期の広告収入は80%と大幅に増加。通期の売上高は8500万ドルを突破する可能性があるという。
バンデヘイ氏は、読者の要望にレーザーのようにフォーカスした編集方針をアクシオスの強みと位置づける。幅広い読者に向けて、あらゆるテーマを扱おうとするのとは反対のアプローチだ。
「アホな会社やアイデアは押し流されて消えた。なるべくして、そうなった」。バンデヘイ氏は特定の企業を名指しすることなく、電子メールにそう書いた。「具体的かつ明確な読者層にクオリティーの高いコンテンツを届ければ、そこには広告と購読の市場が存在し、しかも成長することが今やはっきりした」。