破壊的イノベーションと「共感力」の意外な関係 デザイン思考で新しい市場を創るロジックとは

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ということは、他者への共感により、サービスの作り手が、ユーザーの共感・感動体験を解像度高く、自分ごととしてイメージできれば、ユーザーの心をつかむサービスをデザインできるようになる。

デザイン思考で新しい市場(0→1)を生み出せるのは、このようなロジックによる。新しい市場を生み出すためには、徹底的に「共感」にこだわることが重要であると覚えておいてほしい。

顧客の声を聞くことは本当に大事か?

一般的なデザイン思考のステップとして、共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストの5つがある。この流れの中で意識していただきたいポイントが2点ある。デザイン思考が「共感から始まる」ことと、「テストの前にプロトタイプを作る」という点である。

ここまで述べてきたように、デザイン思考は「創造的問題解決のための思考法」であり、最初から解くべき問題が用意されているわけではない。そのため、自分で問題を定義しなければならない。ではどのようにして問題を定義するのか。

ここで重要となるのが「共感力」である。本書で詳しく示した5W1Hのフレームワークをうまく活用して、ペルソナとシーンを解像度高くイメージし、ペルソナの気持ちになりきる。そして、深く共感することで初めて、潜在ニーズに気づくことができる。

(出所)『破壊的イノベーションの起こし方』

次に、「テストの前にプロトタイプを作る」について、デザイン思考とは0→1のサービスを生み出す思考法だったことを思い出してほしい。

世の中にまだないサービスを創ろうとする際には、ユーザーヒアリング(テスト)のためにアイデアをユーザーに説明しても、ユーザーは作り手のイメージしているものと同じものをイメージできない。その結果、ユーザーは違ったイメージを勝手に持ってしまい、違った回答をしてしまう。

ヒアリング対象のユーザーから正しい回答をもらうためには、まずプロトタイプを作って、イメージを正しく伝えることが重要なのである。

「顧客の声をまず聞くことが大事」と信じてユーザーヒアリングから始める企業がイノベーションを起こせない理由がここにある。「顧客は正解を持っていない」ことを前提に、まずは 自分たちでアイデアとプロトタイプを作ることを心がけてほしい。

松本 勝 VISITS Technologies CEO/創業者

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まつもと まさる / Masaru Matsumoto

東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマンサックス証券に入社。株式、 金利デリバティブのトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年にVISITS Technologiesを設立し、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米で特許取得)により開発。また、企業向け意思決定DXツール「VISITS forms」等のクラウドサービスを幅広く展開し、大手企業200社に対してイノベーション・DX推進の支援を行う。内閣府等のWG委員を歴任する他、2018年、スタートアップ経営者として初めてサマーダボスに招待され、その翌年には注目の経営者としてスーツ・オブ・ザ・イヤー2019を受賞する。

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