破壊的イノベーションと「共感力」の意外な関係 デザイン思考で新しい市場を創るロジックとは
ビジネスにおける「目的」とは「社会やユーザーのニーズを満たすこと」であり、「手段」とは「ニーズを満たす新たなソリューションを提供すること」である。
「ニーズからソリューションを考える」など、一見あたりまえのように思われるかもしれない。しかし、実際のビジネス開発の現場に目をやると、まずは技術(シーズ)に関する研究開発やソリューションありきで、顧客ニーズ不在のままプロジェクトが進んでいることが多々ある。
デザイン思考は、ニーズとソリューションの両方の探索を行うことから、「創造的問題解決のための思考法」と言われることがある。
「創造的」と付いているのは、「ニーズや課題の抽出」から始めるからだ。「問題解決のための思考法」だけであれば、「ニーズや課題が与えられた中での最適なソリューションの創出」となり、旧来コンサルティングファームが請け負っていた分野となる。多くの場合、課題ありきでプロジェクトが始まるからだ(ただし、その過程で問題の再定義を行うことはある)。
また、デザイン思考は、「0→1のビジネスを生み出すための思考法」とも言われることがある。これは従来型の(創造的でない)課題解決プロセスが、課題という「負」を解決するという意味で「-1→0」と表されることがあり、その対比としての表現である。
デザイン思考は多種多様
ちなみに、「デザイン思考はビジネスの改善プロセスには使えるが、0→1には使えない」と主張する人がたまにいる。これは「観察をベースとした従来型のデザイン思考のプロセス」に限った話であり、ほかのアプローチを使えば、0→1も十分に可能である。
デザイン思考とは「思考法」であり、1つの「プロセス」だけを指すものではない。いろいろなデザインファームがさまざまなアプローチでデザイン思考を展開しており、ここを勘違いすると「デザイン思考をやってみたけどダメだ。あれは使えない」ということになりかねないので注意が必要だ。
本書で展開していくアプローチも、数ある中の1つだと思ってほしい。ただ、ほかのデザイン思考のアプローチに比べ特に注力しているのは、「より論理的なアプローチを採用し、誰もが再現しやすくしている点」であり、その点を意識していただければ幸いである。
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