丹羽宇一郎“中国大使”への反響、伊藤忠商事相談役の意外な転身

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中国政府の対日政策ブレーンとして知られる劉江永・清華大学教授は、「経済の現場をよく知っているだけに、職業外交官とは違った新味のある外交ができるのではないか」と期待する。

そのうえで劉教授は、「外務官僚との関係、そして自身の財界人としての利害関係を、どう調整できるかが注目点」と指摘する。

確かに社業との関係が深い分野だけに、古巣の人材やネットワークを使うわけにはいかない。日本経団連の米倉弘昌会長は6月7日の会見で、「中立・公正の原則を貫いてほしい」と注文をつけた。財界も異例の人事への距離感を測りかねているようだ。

丹羽氏がいかに優秀な経営者であっても、大使一人でできることは限られる。民間からのスタッフ起用など、丹羽氏を孤立させないための仕掛けも必要になりそうだ。でなければ、今回の人事は「政治主導」を演出するだけの一過性のものになりかねない。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年6月19日号)

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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