「暴言を吐くAI」「差別するAI」なぜ生まれるのか? AIの暴走を防ぐ「責任あるAI」と「AI倫理」

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デジタル化された財・サービス、情報、金銭などがインターネットを介して、個人・企業間で流通する「デジタル経済」はコロナ禍を機にますます拡大しています。このデジタル経済圏の中で持続可能でかつ競争優位性のあるサービス実現のためには、AI活用はもはや必須のものとなったと言わざるをえません。

実際、我々のグローバルでのエグゼクティブ・サーベイによると、役員アンケート回答者の60%がデジタル経済の競争優位性を得るためにはAIの導入が必要だと回答しています。

一方、日本においては時間当たりの労働生産性が低いことが以前から指摘されており、AIの積極的な活用が求められています。

アクセンチュアが行った2018年の調査によると、2035年の各国推定GVA成長率(GDP成長率にほぼ相当)において、日本は、AI活用が進まないベースラインシナリオでは成長率が0.8%程度です。一方、AIを最大限活用するシナリオでは2.7%となり、成長率を3倍以上に伸ばせると予測しています。

AIはこれだけ大きな潜在的効果を秘めているからこそ、競争力の維持・強化に向けてAIを利活用していくことが日本企業に今まさに求められていることだと言えます。

AIが社会に浸透すればするほど、AIが悪さをした場合の社会的影響は大きくなっており、WHOに限らず、これを危惧する各国・地域の機関では法規制の動きも活発化してきました。

法規制での「禁止」が追加される可能性も

2021年4月には欧州委員会がAIに対する包括規制案を公表しています。

この規制案では、「人の行動を無意識に(サブリミナル的)に、または社会的弱者であることにつけこんで歪め、その人自身や周囲の人たちに身体的または心理的危害を及ぼす可能性のあるAI技術を用いること」「政府が個人の信用度などに基づいて社会的スコアリングを行うこと」「法執行のために公共空間においてリアルタイム生体認証を行うこと」などを「禁止」しています。

また、人に対する生体認証や分類、重要インフラ向けや採用活動・人事判断等に利用されるAIも「高リスク」としてリストアップされています。

注意すべきは、このリストはまだ決定ではなく、今後、「禁止」の事項が追加される可能性があると言及されている点にあります。したがって、どういった範囲のAIが含まれることになるのか今後注視する必要があるでしょう。

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