コロナ「自宅療養が基本」政策のわかりにくい意図 病院と開業医の役割分担必要だが混乱だけが残る
橋下氏:ある程度ベッドに余裕がある場合には、基本的には入院をさせるのが今までのやり方だ。医師の立場だったら、そうだろう。しかし、注意しなければいけないのは、今回の感染症は、病床使用率が特定の業種の営業の制限に直結すること。
通常の病気であれば、どんどん病院に入れることは全然問題ないが、感染症の場合は、病床使用率が上がれば、特定の業種の営業の自由が制限されるということになる。病床使用率全体を見直して、もちろん医師の判断だが、簡単に(病院に)入れることをやめるということが、今回の菅首相の大号令の意味合いだ。
最終的には重症者だけを入れられる体制を
大野知事:最終的には重症者だけを(病院に)入れられるような体制をつくることがとても大切だ。重症者、死亡者を下げるのがわれわれの究極の目的だ。もちろん根絶できればいいが、ワクチンで根絶できたのは人類の歴史で天然痘だけだ。
かかっても重症化しないような体制であれば、軽症者は風邪やインフルエンザと同じように、かかりつけ医のところに行って帰ることになる。こういう体制にしなければいけないが、現状ではそれだけ抑えられていないので、一定の間口は広げておき、そして徐々に狭めていって、重症者を対象とする方向に持っていくことが極めて大切だ。
橋下氏:ということは、方向性自体としては、ゆくゆくはかかりつけ医の責任、役割分担の明確化を計っていくが、今回の菅首相のやり方は、プロセスが問題だったということか。
大野知事:その通りだ。まさにそうでないと、コロナウイルスとの戦いが終わらないことになる。いつまでも同じことがずっと続く。将来的にはその方向だ。ただ、プロセスとして、いまの段階で、重症者だけ(入院)というと、国民も医師も理解できないと思う。
松山キャスター:実際、入院患者の病状について、第4波の時の東京の数値を見ると、無症状、軽症、そして酸素吸入なしの中等症Iの患者で59.1%、ほぼ6割を占めていた。比較的軽症でも入院させている状況がわかる。