【産業天気図・情報通信】携帯電話の顧客単価減少続き「曇り」に、ただソフトバンクは独り勝ち
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
情報通信業界は2010年4月から1年間通じて、「曇り」という低成長の局面になりそうだ。割安な料金プランが浸透し、通信事業者の業績は横ばい程度で停滞する。ソフトバンク<9984>だけが例外的に業績を伸ばしそうだ。
携帯電話の総契約者数は1億1200万人を越え、市場は成熟化。通信事業者各社の契約者数の増加幅は確実に狭まりつつある。加えて大きな減収要因が06年以降各社が導入し始めた、新料金プラン浸透の影響だ。
従来線引きが曖昧だった端末料金と通信料金を明確に分離し、ユーザーは5万円超の端末料金を支払う代わりに、月々の基本料金は半額程度の割安価格になった。
このプランの導入が08年6月(「新シンプルプラン」)と遅れたKDDI<9433>は、契約率が10年3月期末でまだ41%にとどまっており、引き続き減収傾向が続く。
KDDIの携帯電話事業は09年度、10年度と2期連続の営業減益が濃厚。11年度も減益となる可能性がある。一方、赤字が続いていた固定電話、ブロードバンドなどの固定通信事業では09年度実施の設備の減損が効き、10年度は収支均衡まで改善。この利益押し上げ効果や代理店手数料の削減でモバイルの不振を埋め、横ばい圏を維持するのがやっとだ。