40代でFIREすると「退職金」どのくらい減るのか キャリアの真ん中で退職しても「半分」ではない

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先ほど説明した自己都合退職者への給付カット規定も曲者です。勤続年数が短いほど厳しめに設定をすることがあり、勤続10〜20年の中途退職では多くて30%カットということもあり得ます。そもそも少ない受取額がさらに少なくなるわけです。

これらは規定されていますので、退職金規定を読めばある程度想像できます。つまり退職金はFIRE志望者の本来の老後の準備としては力不足だと認識することができるのです。

また、FIREを目指す人は転職をする可能性が高いと思われますが、退職金をそのつど受け取っては細切れになってしまいます。この点でも本来の老後に備える大きな財産に育ちにくい悩みがあります。転職経験者は意識的に退職金受取額を残しておくようにしてください。

早期退職はFIREにはチャンス?

一方で、FIRE希望者にとってチャンスが訪れることもあります。それは、会社が早期退職者の募集をかけたときです。

日本の労働法制では指名解雇は難しいので、自発的に退職を促すために退職金の割増支給を行うことがあります。

会社の設定にもよりますが、この上積みが年収1年分を上回ることがあります。たとえば2019年に富士通が行った早期退職制度では、年収約2年分相当が割増退職金として上乗せ支給されたと報じられています。

『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

もちろん早期退職をすることで、勤続年数が短くなる分、満額の退職金をもらうことはできません。しかしFIREを考えているのならそれは織り込みずみであるはずです。むしろ年収1年分以上のまとまった金額を受け取ることができるチャンスは、FIRE希望者にとってはありがたい収入となります。

ちょうどFIREのタイミングを見計らっていて、この割増退職金の提示があったのなら、これは渡りに船となるでしょう。

難しいのは、割増退職金はもらいたいが今すぐFIREするわけではない、というケースです。次の仕事を探してまだもう数年は働きたいと考える場合、せっかくの割増退職金に手をつける前に次の内定を見つける必要があります(一般に、早期退職の募集はいきなりなので、内定を取ってから早期退職に応じるのは難しい)。転職経験がない場合、雇用保険の支給日数内で次の会社が見つからない場合もあり、注意したいところです。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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