菅首相、「金メダルラッシュ」でも回復せぬ支持率 感染者は過去最多に、宣言延長で五輪に疑問符

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菅首相は緊急事態宣言の追加発令に踏み切った29日夕、官邸で「強い危機感を持って対応している。ワクチン接種を進めながら各地域でしっかりと対応し、病床の逼迫を招かないように対応していきたい」と述べ、平静さを装った。

ただ、東京での新規感染者が2日連続で過去最高となった28日に取材に応じなかった理由を質されると、「毎日対応することでなく、一定の方向性を示す中で、今日もこのように対応している」と苛立ちを露わにした。

さらに、「国民の生命と健康を守っていくのが、東京五輪開催の前提だと首相はかつて発言していた。今の状態はその前提にかなっているのか」と問い詰められると、「(その)前提の中で最大限の努力をしている。対応はできていると思う」と反論。五輪開催と感染拡大の因果関係についても「水際対策をしっかりやっているので、そこはない」と素っ気なく否定して質問を打ち切った。

専門家や与党内からも危機感

菅首相の言動とは裏腹に、多くの専門家は危機感を隠さない。政府コロナ対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会で「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないことだ」と、菅首相に強いメッセージの発信を要求。公明党の山口那津男代表も同日の民放報道番組で「(政府対応は)ちぐはぐ感があり、現場とずれが生じて、国民の不安や不満が表れている」と苦言を呈した。 

こうした不満と批判が相次ぐ中、菅首相は活躍する日本選手への祝福ツイートを連発するなど、「五輪の盛り上がりに便乗した人気取り」(立憲民主幹部)に腐心しているようにもみえる。

菅首相は日本人の金メダル1号となった柔道男子60キロ級の高藤直寿選手に25日、公邸から生電話で祝福。「総理大臣の菅です~。金メダル第1号本当におめでとうございます。男泣き、涙を見た時に、今までの努力を多くのみなさんが感動した」と饒舌に語りかけた。

その後も菅首相は、相次いで金メダルを獲得した日本選手に対し、ツイッターでコメントもつけて祝意を示した。その一方で、コロナの感染急拡大についてはコメントせず、記者団からコロナ感染と五輪について問われても「人流は減っている」「(五輪の)中止はない」などと発言し、ネット上では「余りに楽観的すぎる」と大炎上した。

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