ジョブズ存命でも、アップルの進化難しかった 『沈みゆく帝国』著者、ケイン岩谷氏に聞く(前編)

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――アップルはどのような手を打つべきでしょうか。

 それに答えるのは難しい。アップル固有の問題ではなく、大企業の宿命として、打つ手は限られてきているからだ。ただ、一つ考えても良いと思うのは、経営幹部の外部人材起用だ。アップルの経営幹部は総じて在任期間が長い。例えば、シニア・バイスプレジデント(注:執行役員に相当、現在は9名在籍)であるデザイン分野トップのジョナサン・アイブ、グローバルのマーケティング分野トップのフィリップ・W・シラーなどが古株に当てはまる。ここに新しい風を送り込む必要があるのではないか。

外部人材の起用が必要

ジョブズ自身のエゴが強かったこともあって、アップルの経営幹部もエゴが強いという特徴がある。外の考えに排他的で、新しい人が入ってきても少数派であれば聞き入られない傾向がある。少しずつ変わっているが、もっと変わっても良いはずだ。10年前にアップルの成功に加わった人が、今でも最先端を行っているかというと疑問だ。

――グーグルはフォード前CEOのアラン・ムラ―リーを取締役に起用しました。

面白い動きだ。アップルもバーバリーの前CEOだったアンジェラ・アーレンツをシニア・バイスプレジデントとして小売りとオンラインストアの責任者に据えているが、アンジェラはジョナサンと以前から近い知り合いであり、12年9月にバーバリーの春夏のファッションショーには、アイブが最前列で見ている写真が残っている。その意味で、純粋な外部人材起用とは言えないのではないか。一方、買収したビーツの創業者であるジミー・アイオビンがアップルの経営陣に入るのは、魅力的だ。=文中敬称略=

(後編は近日中に掲載予定、撮影:吉野純治)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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