新型「アクア」デザインに見るヤリスとの違い 1クラス上を狙った「人に寄り添う」落ち着き

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ただし、同クラスの輸入車であるプジョー「208」やルノー「ルーテシア」は、非接触充電も可能だ。トヨタでは「ハリアー」などですでに非接触充電器を採用しているし、多くの人にとってもっとも身近な電化製品でもあるスマートフォン対応は、もう一歩踏み込んでほしかった。

インテリアカラーはブラックを基調としており、上級グレードではダークネイビーとの2トーンとしているものの、先代のような明るいコーディネートはない。ここでも落ち着き感をアピールしているようだ。

EV化の中で「ハイブリッド専用」はアピールできるか?

新型アクアのデザインを見て感じるのは、ヤリスとの方向性の違いだ。ヤリスは、フロントもサイドも複雑な線や面が多いデザインになっているのに対し、アクアはすっきりとまとめている。おかげで落ち着いた雰囲気に見える。

ヤリスが、何よりも“走りの楽しさ”をデザインでもアピールしたのに対し、アクアはキャビンの広さや居心地の良さなどにこだわった造形であると感じる。このあたりは、広さに定評がある日産「ノート」やホンダ「フィット」に近い。

ヤリスのエクステリア(写真:トヨタ自動車)

ノートやフィットのライバルは、今まではヤリスだったかもしれないが、これからはアクアのほうがライバルになるのではないかと思っている。

気になるのは、グローバル戦略だ。先代がプリウスcの名前で展開していたことは前に書いたが、そのプリウスcはアメリカでは2019年、オーストラリアでは2020年に販売を終了している。

しかも、アメリカではカリフォルニア州などで、将来ハイブリッド車の新車販売を禁止する方向に動いており、“ハイブリッド専用車”という特徴は今後、海外でアピールポイントにはなりにくくなると考えられる

このクラスのトヨタのコンパクトカーが、これから電動化という流れの中でどういう方向に進むのかはわからないが、少なくともデザインを見る限り、アクアはプリウスの弟という位置づけから脱却し、躍動感のヤリス、落ち着きのアクアという棲み分けになっていくのではないかと思えた。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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