川内原発「避難計画は十分でない」 立地自治体の岩切秀雄・薩摩川内市長に聞く

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――地元住民の再稼働に対する考え方をどう見ているか。

市民の中には、再稼働について、賛成・反対、どちらの意見もあることは重々認識している。

しかし、一昨年の市長選挙は、安全確保を前提として再稼働を容認するという私と、再稼働に反対するという候補との一騎打ちであったが、その結果、投票いただいた市民の方々の8割以上の方が私に投票していただいており、市民から付託を受けたものと考えている。

(編集部注:2012年11月の市長選では、無所属現職で民主・自民・公明・国民新の各党が推薦する岩切秀雄氏と、原発即時廃止を唱える無所属新人で共産党が推薦する山口陽規氏との一騎打ちとなった。結果は岩切氏が4万4816票を獲得、9978票だった山口氏を大差で下して再選を果たした。投票率は70.31%だった)

国や規制は市民に対して説明を

――住民説明会など、地元同意までの今後の課題と規制委、国に対する要望は。

再稼働の判断については、規制委から市民に対し、福島原発事故の教訓などを踏まえ、どのような基準を策定され、その基準に対し、川内原発はどうであったかを説明いただいたうえで、議会の意見などを踏まえ判断したいと考えている。

したがって、規制委に対しては、市民に対し、わかりやすい説明を行っていただくこと、および国に対しては、4月に閣議決定されたエネルギー基本計画に関し、国民に対する十分な説明など、国民理解を得る取り組みをお願いする。とともに、同計画で再稼働に関し示された「立地自治体等関係者の協力と理解を得るよう、取り組む」とは、具体的にどのようなアクションを起こされるのか、示していただきたい。

――川内原発には3号機の増設計画があり、市長として同意することを2010年に議会で表明したが、計画がストップしている現在の状況をどう考えているか。引き続き、増設を推進する立場か。

4月に閣議決定されたエネルギー基本計画においては、「原子力は安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付け、政策的には既存原発の徹底した安全性の確保を目指し、規制基準に適合すると認められた場合は再稼働を認めること」、また「原発依存度については、可能な限り低減させるとの方針の下、安定供給等の観点から確保していく規模を見極める」としており、新増設に関する国の考えは明確に示されていない、と認識している。

このような現状において、原子力政策は国の責任において進められるものと考えている。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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