27歳で急死「天才ロッカーたちの礼賛」に異議あり 才能と可能性を備えた人間だから傑作が生まれた
シモンズ氏は、「27クラブというフレーズに問題がある」と指摘している。この「クラブ」のことを、プライベートで、閉鎖的で、メンバーズ・オンリーな、あたかも高級クリエイティブ・クラブ「ソーホー・ハウス」のような調子で口にすること自体が間違っているのだと。
27クラブという呼称のイメージ
たしかに「27クラブ」という名は、あたかもそれが特別なものであるような印象を与える可能性がある。だが忘れるべきでないのは、そのクラブが現実に起きた死を語っているものだということだ。
しかし当然ながら、死は「クラブ」であるべきではない。にもかかわらず、そのクラブに所属する人々は“ひとくくり”にされているのである。
それは物事の本質ではなく、単なる断片だ。シモンズ氏も、27クラブを考えることは、「ひとりひとりの経験がどれほどユニークで計り知れないかを受け入れること」だと主張している。
他人の痛みを理解し、どうしてその人が説明のつかないことをするような状況へ追いやられたのかを理解することだと。
私にとっては、それこそが27クラブだ。(「イントロダクション」より)
ロック・スターに影響を与えた“環境”
27クラブが話題にのぼるとき、最も頻繁に言及される存在として、シモンズ氏はカート・コベインの名を挙げている(日本では「コバーン」と表記されることが多いが、本書では実際の発音に近い「コベイン」が用いられている)。
アルバム『ネヴァーマインド』で大成功を収めたニルヴァーナのヴォーカリスト兼ギタリスト。ファッション、発言、刹那的な人生観などによって多くの若者の共感を呼んだが、1994年4月5日に27歳で自死した。
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