再エネ比率36~38%に引上げも原子力は現行維持 野心的と自賛する経産省の「基本計画」素案

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経産省は13日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の分科会で、公共施設での太陽光発電の導入などにより再エネ導入量を3120億キロワット時まで引き上げられるとの見通しを示した。

その上で、「30年までという限られた時間軸であることを踏まえても、これ以上の積み上げは簡単ではない」としていた。削減目標の達成には不十分との指摘もあり、導入量をどこまで上積みできるかが焦点となっていた。

今回示した素案では、再エネについて、より一層の「施策強化などの効果が実現した場合の野心的なものとして」、合計約3300億-約3500億キロワット時程度を導入し構成比では約36-38%程度を見込むとした。

また、この水準が上限ではなく、現時点で想定できないような取り組みが進展して早期に目標の達成が可能になった場合には、さらに高い水準を目指す考えも示した。

原子力の構成比率の達成も容易ではない

もう一つの焦点となっていた原子力の構成比率では現行の計画が維持されたが、その達成は容易ではない。日本はかつて米国、フランスに次ぐ世界屈指の原発大国で東日本大震災震災前までは54基が稼働していた。

しかし、福島第1原子力発電所の事故後に強化された安全基準を満たして再稼働を果たした原発は10基にとどまる。今回示された原子力比率の達成には、これまで原子力規制委員会に安全審査の申請がされた27基全ての再稼働が必要となる。

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