無観客「五輪会場エリア」を回って見た悲痛な現実

五輪後に重くのしかかる施設維持費という問題

同施設も昨年10~12月にはラフティングツアーやカヤック練習会、施設見学会などを一般向けに実施。五輪後に備えてきた。指定管理者の協栄はコロナ前の段階で新たなレジャー・教育施設として売り出す方針だったが、コロナ終息が見えない限り、イベント実施なども難しそうだ。

3億4900万円という年間維持費を可能な限り減らし、採算性を上げていくしかないが、観客がこの地で感動を体感できなかった事実は後々に響くかもしれない。

さらに辰巳エリアへ移動したが、東京アクアティクスセンター周辺一帯に交通規制がかかっていた。東京メトロ有楽町線の辰巳駅に近い辰巳日赤前の交差点から辰巳国際水泳場方面には大会関係者と住民しか入れず、外界を遮断した状態になっていた。

辰巳の森海浜公園だけは辛うじて通行できたが、そこにも警察官が何人もウロウロしている状態。警察庁は今回の五輪・パラリンピックに向け、警視庁と県警を合わせて過去最大規模の約5万9900人を投入すると発表しているが、無観客五輪にそこまでの警備が必要なのかと疑問に思えてくるほどだった。

五輪後に重くのしかかる施設維持費

東京アクアティクスセンターに関しては、昨年3月の完成後、今年4月の日本選手権などビッグイベントが何度か開かれており、後利用に関しても海の森水上競技場やカヌー・スラロームセンターよりは需要がありそうだ。とはいえ、年間9億8800万円と試算される維持費は重い。

加えて、目と鼻の先に辰巳国際水泳場がある。こちらに関しては、2019年3月には5000人以上の観客席を備えた最新鋭のアイススケートリンクに改築することが正式発表されている。が、コロナ禍の財政難もあり、計画どおりに進むかは未知数の部分がありそうだ。

「無観客五輪のために567億円もの費用をかけて東京アクアティクスセンターを建設した意味がなかった」「辰巳国際水泳場を改修すればよかった」といったネガティブな声が高まる可能性もあるだけに、今後の推移を慎重に見守るべきだ。

本番も観客が来ない有明アーバンスポーツパーク(写真:筆者撮影)

次は2kmほど南西に進んだ有明地区へ。テニス会場の有明テニスの森、体操会場の有明体操競技場、バレーボール会場の有明アリーナなど複数施設が立ち並ぶ重要エリアだ。

特に目についたのが、自転車競技とスケートボードが行われる有明アーバンスポーツパーク。こちらも海の森水上競技場などと同じように仮設スタンドが整備され、いつでも大勢の人々を迎えられる状態になっていた。

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