「アルツハイマー新薬」有力病院の投与拒否続く訳 効果に疑問符つく一方、安全面の懸念も

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バイオジェンによるアルツハイマー新薬「アデゥカマヌブ」の投与をアメリカの有力病院が拒否する事態が相次いでいる(写真:Adam Glanzman/New York Times)

物議を醸すアルツハイマー病新薬「アデュカヌマブ(製品名アデュヘルム)」の承認に疑念が強まる中、アメリカを代表する2つの大手医療機関が患者への投与を見送る決断を下した。

国内で最大級かつ最も高い名声を誇るクリーブランド・クリニックは、専門家チームで「この治療薬について入手可能なすべての科学的証拠に再検討を加えた」とする声明を発表。「安全性と有効性に関する現在のデータに基づき、現段階ではアデュカヌマブを使用しないことに決めた」と述べた。

医師が個人として処方することは可能だが、その場合、患者は別の病院で薬の投与を受けなければならなくなるとクリーブランド・クリニックの広報担当者は話した。アデュカヌマブは毎月1回、点滴で投与する薬剤だ。

マウント・サイナイ認知医療センターのセンター長、サム・ガンディー医師によれば、ニューヨーク市のマウント・サイナイ・ヘルスシステムも投与見送りを決定した。

効果よりも、安全面の不安が浮上

アメリカ食品医薬品局(FDA)による承認手続き、およびFDAと製薬会社バイオジェンとの関係について連邦機関による調査を求める声が出ていることを受けた措置だと、精神医学と神経学の教授でもあるガンディー医師は話す。保健福祉省の監察総監による調査で「FDAとバイオジェンの関係が公正であることが確認され、さらに(FDAの承認の根拠が)再確認されるまでは、マウント・サイナイが運営するいかなる病院でもアデュカヌマブの点滴投与が検討されることはない」という。

6月7日にアデュカヌマブを承認したFDAの行動はすでに議会が調査に乗り出す事態となっているが、そこに有力医療機関の投与拒否が加わったことで波紋がさらに広がった。

アルツハイマー病の専門家など科学者の多くは、アデュカヌマブに認知機能の低下を遅らせる効果があるのかどうかははっきりしないと指摘する。有効性の面では、ひいき目に見ても認知機能の低下をわずかに遅らせる可能性を示唆するデータがあるにすぎない。一方、安全性の面では、脳浮腫や脳内出血といった副作用を引き起こす可能性のあることがわかっている。

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