パナソニックが「レッツノート」で新製品、堅牢ノート市場での圧倒的強み生かす
パナソニックはノートパソコン「レッツノート」シリーズにタッチパネル式で回転する液晶画面付き新製品を投入する。
商品名は「レッツノートCF−C1」。画面をくるりと後ろに向けてたたむと、iPadのようなタブレットスタイルにもなる。通常、回転式の場合は回すときの軸となる支持・接続部分(ヒンジ)は1カ所で、開閉時の支持も兼ねているため負荷がかかるが、両脇にも開閉ヒンジを作ったことで安定性を高め、故障率を低くした。
何しろ、レッツノートの海外ブランド名は「タフブック」。文字通り、堅牢製を売りにする特殊なノートパソコンだ。今回の新製品も、2つのバッテリーで最長13時間稼働し、電磁ペン入力のほか、手で直接液晶画面に触れて操作することもできる。
パソコンメーカーといえば、まずNECや富士通、東芝であり、デルやHPだ。ソニーやマックも異色の存在だが、パナソニックの名前はなかなか出てこない。販売台数統計でも「その他」に括られてしまう寂しさだ。国内シェアはB5ノートに限れば25.6%を占めるとはいうものの、ノートパソコン全体の中では1ケタにすぎない。
だが、「堅牢ノート」という特殊なニッチ市場では、世界的な評価を得ている。欧米、アジアを含めてグローバルシェアは60%と圧倒的だ。顧客の多くは、警察、消防などの官公庁や、電設などの工事会社といったハードボイルド系の現場で働く人々だという。パソコンだからと特別扱いされず、工具箱の中に放り込まれ、長時間、自動車の振動や熱に耐え、あらゆる角度からの落下衝撃にも耐える、という商品性がポイントとなる。また、通常の水濡れはもちろん、外洋で海水を被っても、データも液晶画面も破損しない、というのがウリだ。
価格は民生用の倍近く高額だが、現場から直接ニーズを吸い上げて開発・製造しているだけに、ユーザーからの信頼は厚い。09年に発売したタブレットタイプは、アルコールをはじめとする薬品耐性を高め、病院をターゲットにした。
今回の新製品も、「製薬の現場や保険外務員など、外回りの業務効率化に貢献するはず。今後も堅牢PCのトップブランドとして、タフPCの分野を広げる」、とパナソニックITプロダクツビジネスユニット長・奥田茂雄氏は意気込む。
連結売上高が7兆円にもなるパナソニックグループの中ではいかにも小さいが、たしかな存在感を発している。
(小長 洋子 =東洋経済オンライン)
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