EVでは「新しい空間価値」が勝負の分かれ目に 走行性能で差別化できず、とホンダ社長述べる
ホンダの三部敏宏社長は16日、電気自動車(EV)の普及が進めば伝統的な自動車メーカーが強味としてきた車の走行性能で差別化を図ることが難しくなり、インターネットとの接続を含めた「新しい空間価値」を提供できるかなどが勝負になるとの見方を示した。
三部氏は都内で記者団に対し、バッテリーで走行するEVでは走る、曲がる、止まるなど車の基本性能の部分で差別化するのは難しくなるとの見通しを示した。その上で、コネクティッド技術を含む「ハードウェアで差別化できない部分を、いかにソフトウェアで新しい価値を生み出すか」がポイントになると述べた。
コネクティッド技術に必要な基本ソフト(オペレーティングシステム、OS)の「根本は抑えるべき」だとし、中堅自動車メーカー同士で共通のOSを活用するなど、他社とのアライアンス(協業)も検討しているという。
三部氏は今年4月1日に社長に就任。2050年に温室効果ガスを全体でゼロにするカーボンニュートラルの達成に向け、40年までに先進国で販売する全ての車をEVか燃料電池車(FCV)などのゼロエミッション車とする方針を明らかにしていた。
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欧州連合(EU)が14日に公表した政策提言では、35年までに内燃エンジン車の新車販売禁止などが打ち出された。三部社長は「いずれそのような形になっていく」と想定していたとし、驚きはないと述べた。
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EV化については「政治的な動向を見るとさらに加速している。全てがそっちに向かっている」とし、カーボンニュートラルへの流れを先導する意欲を示した。
F1レースでの活躍などエンジン技術を得意としてきたホンダだが、優れたエンジンを開発してきたエンジニアたちは健在で、電動車のパワーユニットでも「競争力は十分にある」と話した。
ホンダは世界最大のバイクメーカーでもあり、カーボンニュートラルへ「四輪だけやっても意味がない。二輪も電気になると思っている」と指摘。小型から初めて徐々に大型バイクの電動化も進めたいと述べた。
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著者:竹沢紫帆
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