知ると深い!英語が「過去形で丁寧表現」を表す訳 進行形でもOK、ポイントは「距離感」を出すこと

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まずは次の英語を太字に着目して、日本語に訳してみてください。

Q.2 次の文を日本語に訳しなさい。
Could you tell me the way to the station?

couldに少し戸惑ったかもしれませんが、正解は「駅への道のりを教えていただけますか?」です。日本語を見てわかるように、何ら過去の意味を表してはいません。この文からわかるとおり、couldは確かにcanの過去形ですが、英語の過去形には単に昔のことを表すこと以外にも、用法があることがわかります。

結論からいうと、このcouldは、丁寧さを表す過去形の用法になります。では、なぜ過去形で「丁寧さ」を伝えられるのか、英文法の謎に迫っていきます。まずは、過去形=「昔のこと」という考えを改めてみましょう。

過去形とは、距離感を作り出すものだと思ってください。この距離感からすべての用法がつながっていきます。過去形は確かに、昔のことを表しますが、これも現在との距離感を作り出すことで、昔のことを表しているのです。例えば、次の文をご覧ください。

例文:I often played basketball when I was in high school.
私は高校生のころよくバスケットボールをした。

when I was in high school.とあるように、高校生のころバスケットボールをよくしていたとあるだけで、ここでの過去形は、現在と距離感を作って、今はバスケットボールをやっていないことがわかります。

では、冒頭のCould you tell me ~?の文に戻りましょう。この文は、couldに着目します。確かに、canの過去形ではありますが、正解の日本語に過去の意味は表れていません。では一体このcouldは何を意味するのでしょうか? この過去形は「相手との距離感」を作り出しています。

現在形だと「なれなれしい」イメージ

見ず知らずの人に近い距離で馴れ馴れしく話されると、少し失礼に感じたことはありませんか? 英語の現在形がまさにそのイメージで、canを使っても間違いではないですが、ややなれなれしいイメージを与えます。

そこでcouldの登場です。過去形を使い「相手との距離感」を作ることで、丁寧なイメージを伝えることが可能になります。初対面や頼みごとをするような場面では、過去形を使って、丁寧さを伝えたほうがふさわしいことがあります。依頼したいことを伝えるという観点だけでは、Can you tell me ~?で十分なのですが、Could you tell me ~?とすることで丁寧さを伝えて、一段上の英語を表現してみましょう。

これからは、自分の頼みごとを丁寧に表現したいときはCould I ~?、相手への依頼で丁寧さを表したいときはCould you ~?を堂々と使ってみてください。ここまでをまとめると、過去形を使うことで、「相手との距離感」を作り「丁寧さ」を伝えることができるということでした。

次のテーマに移ります。ここまでの説明で、過去形で丁寧さを伝えられると学びましたが、実は進行形でも丁寧さを伝えることは可能です。

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