そのブランド変更はユーザー本位ですか? <動画>体制が変わってもブランドの扱いは慎重に

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稲盛氏はJALの「鶴丸」を復活させた。ブランドってものすごく大事だ!

マイクロソフトは今年4月に買収を完了したノキア携帯電話機部門の人員を1万2000人ほど削減するなど、さっそくリストラモードに入っている。4月時点で、ノキア元CEOで、現在、マイクロソフトのモバイル部門の責任者を務めるスティーブン・エロップ氏は、買収直後のライブQ&Aイベントにおいて「ブランド名を変えるとの噂があるが?」との問いに対し、次のように説明をした。

「現在、マイクロソフトはノキアブランドを利用する権利を持っており、しばらくは使用する。しかし、長期的視点ではスマートフォン向けブランドとしては利用できなくなるだろう。それゆえ新しいスマートフォンブランドを選定する作業がすでに進んでいる」

ノキアブランドを残すべき

夏野氏は「ブランドを変えるのはよくない」と指摘する。その事例として、JAL(日本航空)がJAS(日本エアシステム)と合併した際、長年使っていた「鶴丸」のブランドを廃止したことを事例としてあげる。

「経営体制が変わったことを示すために、いろいろと手を加えたくなるのはわかる。しかし、ユーザーのためではなく、自分たちの論理で変えるとうまくいかない」と夏野剛氏は指摘する。

果たして、マイクロソフトは世界中で圧倒的な知名度を持つノキアブランドを使用し続けることができるだろうか? 

この企画は週刊『夏野総研』とのコラボレーションにより運営しています。
 
夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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