小池知事の支持率は「57~59%」と高く、30%台後半の菅首相に比べて高い水準を保っています。
「風向き」を読み、何かあれば「国の責任」にし、攻撃の矛先から逃れる身のこなしも見事なものですが、彼女の「コミュ力」はこのコロナ禍だからこそ、さらにその強みを発揮しやすいのかもしれません。
「危機の特殊性」が「女性リーダーの台頭」に結びついた
コロナ禍で、各国の指導者たちはそれぞれに尽力したわけですが、その中で、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相、台湾の蔡英文総統、ドイツのアンゲラ・メルケル首相のほか、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、デンマークなどで多くの「女性リーダーたち」が大きく株を上げました。
「女性のほうが男性より『リスクに敏感な傾向』にある」と言われており、このコロナ問題についても、女性リーダーのほうが、より慎重にリスクをとらえ、断固たる処置を一刻も早くとるという姿勢をとってきたところが高く評価されたのです。
一方、男性リーダーの中には、「『男らしさ』とはウイルスという敵を恐れず、戦い抜くこと」で、「マスクをしない」「外出しない」という選択肢は負けを認めること、ととらえるマッチョな人もいました。
コロナという「危機の特殊性」が、「女性リーダーの台頭」に結びついたところもあります。「ウイルス」という見えない敵と戦うのに、こぶしを振り上げ、(仮想)敵国をたたくようなレトリックは使えません。敵は「見えないウイルス」であると同時に、人々に襲いかかる「恐怖」「不安」「孤独感」です。そこに、女性の「共感力」が大いに力を発揮するのです。
人の痛みを感じる想像力、寄り添い、勇気づけ、たたえ、励ます「共感力」。数々の研究から、「女性のほうが、人の感情を読み取る、感情を表現する力が高い」という結果が出ていますが、「人の気持ちを察し、悲しみや不安に寄り添う」といった言動にためらいがない、「女性のリーダーシップ」に安心感を覚える人は少なくないわけです。
小池氏もそうした「気配り」を随所に見せてきました。そのひとつが「手紙作戦」です。「ホテルで療養するコロナの軽症患者への手紙」「都の職員向けの手紙」などです。たいしたことがないと思われるかもしれない、こうした行動が案外、不安な人の心には刺さるものなのです。
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