ヒカキンやフワちゃんなどとのコラボも難なくこなし、TwitterやYouTubeなどを通じ、頻繁に情報発信を続ける。「たまに会見をやって、原稿を読み上げる程度の情報発信しかない」菅首相と比べると、大阪の吉村知事や小池氏などの「情報の物量作戦」は、「お茶の間の顔」としての安心感を植え付けるという意味においては大きな効果を見せています。
「ざっくばらんさ」「さりげなさ」で「庶民性」をアピール
堅苦しく、四角四面の首相や大臣の話し方に比べると、その語り口はソフトで、時折、「隣のおばちゃん」的な話し方をすることがあります。等身大の姿を見せ、親近感を醸成する。これこそが、巧妙な戦略なのです。
例えば、ある日マスクを外して会見をしたとき、「ひょっとして、関係ないけど、私、口紅忘れてる?」と突然報道陣に問いかけました。
会場はどっと笑いに包まれたわけですが、その後も「え、忘れてる。そうですか。いやいや、まあ、じゃあ、いやーすみません」と続けました。さらに、「もうこのところ、全然(口紅を)しないんですよね。関係ないですけどね。はい。化粧品も売れないとかって聞きましたけど」と笑顔で話したのです。
かしこまって「ございます」「と思います」ばかりを続けるような政治家には、なかなか親近感を覚えにくいわけですが、このざっくばらんでさりげない「おばちゃんスタイル」の話し方は、あっという間に「人との距離」を縮めてくれます。
かわいらしい手作りマスクをはめ、のちに「ご近所の方から、いただいた手作りのもの」と明かすなど、「庶民性」を徹底的にアピールする辺りも、実にあざとい。
2016年にイギリスの研究者が発表した論文によると、政治への不信感が強い近年、政治家は、堅苦しく冷たい印象の「プロの政治家」というイメージを払拭し、まるで芸能人のように「Just like us(私たちと同じ)」という庶民的なイメージ醸成する方向にシフトしているそうです。
今の時代には、「親しみやすさ」と「人気」は極めて強い「相関関係」があるということなのです。
このように、おばちゃん性もしっかりアピールしながらも、「どこかでバタッと倒れているかもしれないが、それも本望」などと侠気のある発言をもらす。スタンフォード大学の研究では、最も成功する女性リーダーは男性的な特質と女性的な特質をバランスよく持ち合わせた「カメレオン型」なのだそうです。まさに「カメレオン」を地で行く百戦錬磨ぶりには驚嘆せざるにはいられません。
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