商用車がなくなる?! トヨタ主導で変わる業界図 クルマ作りもハードウェアからソフトウェアへ

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CUBE-LINXのサービスは、商用モビリティ利用のオープンプラットフォームとして位置付けられており、トヨタグループだけではなく、日野が小型トラック部門で提携することになった「いすゞ」も含めた、商用車の垣根をなくすための“業界の基盤”になりそうだ。

日野自動車が関西電力と協業する、CUBE-LINXの商用モビリティ利用のオープンプラットフォームの説明図(写真:CUBE-LINX)

垣根がなくなるのは、トラック・バス、小型貨物、軽トラックだけではない。昨今のキャンピングカーブームで明らかになってきたように、商用車と乗用車との垣根すらなくなりそうな需要も生まれてきている。

ミニバンの起源は商用車にある

具体的には、「バンコン(バンコンバージョン)」と呼ばれるハイエースや日産「キャラバン」をカスタマイズしたキャンピングカーや、スズキ「エブリイ」やホンダ「N-VAN」といった軽商用車をベースとした「軽キャン(軽キャンピングカー)」が人気だ。

こうした4ナンバーの商用車を3ナンバー・5ナンバーの乗用車や乗用軽自動車のように使うトレンドについて、これまでの流れを振り返ってみると、1980年代にタウンエースやハイエースといった商用ワンボックス車の乗用化モデルの登場がきっかけにあると考えられる。

レトロな雰囲気のフロントグリルを装着するアフターマーケットメーカーが架装したハイエースのバンコン。ジャパンキャンピングカーショー2021にて(筆者撮影)

ワンボックス車の乗用仕様はブームといえるほど各メーカーに広がり、乗用専用ワゴンのトヨタ「エスティマ」が1990年に誕生するなど、現在のミニバン文化の原点を商用ワンボックス車に見ることができる。

近いところでは、トヨタ車体が2017年の東京モーターショーで発表した、多目的の利活用が可能な小型商用車と乗用ミニバンの融合である「LCV(ライトコマーシャルヴィークル)コンセプト」という存在もある。

このときは、1つのモデルをベースとした小口配送車仕様、ビジネスラウンジ仕様、車いすアスリートの移動を想定したトランスポーター仕様が提案された。

“商用車”というくくりが今後、どう変化していくのか。そのカギを握るのが日野、トヨタ車体、ダイハツからなるトヨタグループであることは間違いない。トヨタグループ各社の今後の動向を注視していこう。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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