商用車がなくなる?! トヨタ主導で変わる業界図 クルマ作りもハードウェアからソフトウェアへ
ここで改めて考えてみると、そもそも「商用車」という言葉に法的な定義はない。
道路運送車両法では、普通自動車、小型自動車、軽自動車というくくりの中で、トラック・バスと乗用車が混在し、また道路交通法では普通乗用車に対してバス・トラックを大型自動車、中型自動車、準中型自動車として区分けしている。
そのほか、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)による車種別新車販売台数という括りでは、普通自動車と小型自動車に対して、トラックは普通貨物車と小型貨物車に分類されている。

一方、乗用車を扱う日系自動車メーカーのホームページを見ると、カーラインアップの区分けとして、トヨタが「ビジネスカー」としている以外は、日産、ホンダ、マツダ、スズキ、三菱、ダイハツが「商用車」と表記している。つまり商用車とは、自動車メーカーが商品戦略として設定した独自の区分なのだ。
そう考えれば、トヨタグループでは、日野がバス・トラック、トヨタが「ハイエース」「タウンエース」「ダイナ」、そしてダイハツが軽自動車の「ハイゼットトラック」や「ハイゼットカーゴ」など商用車(ビジネスカー)全体を、小木曽社長が指摘したような「やわらかい連携」で一括管理・運用することは十分可能だといえる。
電動化ではすでに横展開が進んでいる
小木曽社長が筆者の質問に対する回答の中で、電動化分野ではトヨタ(トヨタ車体)・日野・ダイハツとの連携がすでに始まっていることを改めて示している。
ハイブリッドシステムや燃料電池車の技術は、トヨタが研究開発と量産化の軸足となり、トヨタが“ヨコテン”と呼ぶ「水平方向への展開」がさらに進む。

日野では、すでに物流事業者のニーズを捉えた「物流のラストワンマイル」に特化する超低床かつ荷室内ウォールスルーを考慮した小型EVトラック「デュトロZ EV」や、これを応用した小型バス「ポンチョ ZEV」を発表済み。電動化車両の導入と運用のソリューションである、日野と関西電力の共同出資によるCUBE-LINXと合わせて、2022年の市場導入を目指している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら