1畳の箱で「子連れ外出助ける」ベンチャーの正体 可動式ベビーケアルーム「ママロ」誕生の裏側

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2017年秋の販売開始から、3年半強で全国279カ所(2021年7月現在)に導入。費用は1台250万円。リースの場合は月4万9800円だ。利用回数はのべ21万回にのぼり、設置場所のバリエーションも広がってきた。

「利用者が使用して気持ちがいいと思えるような授乳室を作ろうと思うと、(壁や内装工事、備品などを含め)1000万円程度かかることもある」(長谷川氏)というように、金額面やスペースの面で施設側の設置のハードルは高い。これまで『授乳したい』と言われて多目的トイレを案内したり、椅子だけ置いて授乳室と呼んだりしていたような場所も少なくなかったが、”1畳のスペース”さえあれば授乳室を置くことができるため、導入のハードルはグッと下がった。

また、人目を避ける目的としても需要があるという。スーパーマーケットなど長居を前提にしていない場所は一見必要なさそうに思われるが、赤ちゃんが泣いていることに対して、視線の冷たさを感じるお母さんは多い。

0歳から1歳は、赤ちゃん本人のリズムができてきている場合はいいが、そうでなければいつ泣くかわからない。お腹がすいたとき、眠たいとき、甘えたいだけなど、理由もタイミングもさまざま。もっと買い物をしたくても、逃げ場がないため店を出るしかなくなる。そういったときにさっと入れ、周囲の目を気にせず赤ちゃんと向き合い落ち着かせることができる。

意外なところでは神社やカーディーラーからの引き合いも最近増えているという。

神社は七五三やお宮参りなど子どもの行事のほか、結婚式に子連れで参列する人もいるため需要があった。カーディーラーは商談の時間が長く、子どもを遊ばせる場所があっても、授乳室が用意されていない。しかし、車の買い替えなど、家族が増えるタイミングで検討されることも多い。

このように、実は赤ちゃん連れがよく利用するにもかかわらず、授乳室をわざわざ設置するまでに至らなかった需要が少なからずあったのだ。

開発のきっかけは「パパの視点」だった

子育て世代をターゲットとする施設を中心に広がりを見せるママロだが、その誕生は「Baby map」が頭打ちになったことがきっかけだった。

Baby map(旧「ベビ☆マ」)は長谷川氏が医療系ベンチャーにいたときに、新規事業責任者として開発に携わったアプリだ。

「実はママ視点の発想で始まったわけではなかったんです。チームにいた子育て中の男性が『自分だってオムツ替えくらいできる!』と子どもを預かって出かけたものの、オムツ替えスポットがなくて、ネットで調べて、住所をGoogle マップにコピペして……と悪戦苦闘した話が発端でした」(長谷川氏)

Trimの長谷川裕介CEO。自身はイクメンではなかったと言うが‥‥(写真:編集部撮影)

そこで、利用者が授乳室やオムツ替えスペースを口コミとともに入力して作成していく地図検索アプリとしてリリース。

反響は上々だったが、その会社が上場するにあたり、本業に特化することになった。利益の出ていないBaby mapは存続の危機に瀕した。

「このアプリは善意の輪だけで成り立っていた。ここの授乳室はきれいだった、今閉鎖されているとか、次に使うお母さんのために、みんなが情報発信している。だからどうしても残したかった」と長谷川氏。

次ページ自分で買い取ることを決意
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事