日経平均が上がりにくいのは東京五輪のせい? 「バーベル戦略」はとりにくいが「中身」は良化中

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マクロ経済指標も株価の追い風となっている。2日公表の雇用統計では、6月の非農業部門雇用者数が前月比で85.0万人増加し、市場の事前予想の70.0万人を上回った。このため市場は「雇用が着実に回復している」との印象を抱いたと考えられる。

その一方で、この事業所統計ベースの雇用者数では(同時に公表される失業率は、事業所統計ではなく、家計調査から集計されている)、コロナ禍前のピークは2020年2月の1億5252万人であり、今年6月時点では1億4576万人と、ピークを4.4%(676万人)下回っている。

つまり、6月の前月比増加幅である85.0万人のペースで今後も増え続けても、ピークを奪回するには8カ月(2022年2月)かかることになる。米連銀の使命はインフレ率の安定と最大雇用の確保であるため、この雇用増のペースでは、連銀がとりわけ金融緩和の縮小を急がないだろう、という見解も広がったようだ。

つまり、景気悪化を心配させない雇用増であり、それでいて利上げの早期化を懸念させるほどでもないといった、やや「いいとこどり」の感はあるが、ちょうどよい景気の湯加減というところなのだろう。

日本の株価が「もたもた」しているワケ

一方、日本の株価はもたもたしている感がある。日経平均株価をドル換算したものをNYダウで割った比率を見ると(ドル建て日経平均を100倍した調整数値)、今年2月には0.914倍のピークをつけ、日経平均の相対的な「浮かれすぎ」となっていたものが「深い反省」に迫られ、5月の連休明け(13日)には0.736倍に下押しした。そこから6月18日は、同比率は0.789倍までまくり返したが、2日には再び0.743倍と、5月の底に近い水準となっている。

また日経平均単独で見ても、終値ベースの高値は2月16日(3万0467円)、3月18日(3万0216円)、4月5日(3万0089円)、5月10日(2万9518円)、6月15日(2万9441円)と「上値切り下がり型」を演じている。

ただ、決して日本の企業収益実態が悪化しているわけではない。TOPIXについてのアナリストのEPS予想値の平均(ファクトセット社集計)を見ると、前年比増減益率では、昨年7月に27.4%減益まで見通しが悪化したものが、2日には38.8%増益と、かなりの増益見通しとなっている。

前年比ではなく実額のEPS水準では2日時点で124.5ポイントとなっている。日本はいち早く2018年10月に景気が山をつけ、長い景気後退期入りしたため、当時のEPSの最高値である135.0ポイントにはまだ達していないが、コロナ禍前のピーク時である2020年2月の120.1ポイントは上回ってきた。

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