日経平均が上がりにくいのは東京五輪のせい?

「バーベル戦略」はとりにくいが「中身」は良化中

日本株がなかなか上がりにくいのは、東京五輪開催で新型コロナの感染拡大が懸念されるから?(写真:つのだよしお/アフロ)

アメリカ株がさまざまな波乱を乗り越えて堅調だ。前回の当コラム「NYダウや日経平均はこのまま下落してしまうのか」で述べたように、つい2週間ほど前には6月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)を受けて、「利上げが早まって大変だ」「利上げが早まったら景気が悪化するから大変だ」とのドタバタ騒ぎがあった。しかしその後の株式市場は、そうした騒ぎをポイっとゴミ箱に放り込んで、じわじわとした株高を再開している。

米主要企業の予想1株益はコロナ前を13%強も上回る

結果として先週末の7月2日は「アメリカ株価指数3姉妹」(3兄弟でもいいのだが)、すなわちニューヨーク(NY)ダウ、S&P500、ナスダック総合指数が、すべて史上最高値を更新した。物色については、短期的には猫の目のように人気株がクルクル変わり「今日は景気敏感株だ、明日はIT株だ」と手変わりする局面も多い。ただ、そうした循環物色の結果、全体底上げになっていると解釈できる。

プロの投資の世界には「バーベル戦略」という言葉がある。もともとは債券投資において、残存期間が短い債券と長い債券を保有することを指す。中間の債券を保有しない戦略なので、ちょうどバーベルの形を想起することから名づけられた。

最近では、株式投資についても「バーベル戦略」が使われるようになった。端的には足元のアメリカ株について、景気敏感株とIT関連株の両方を買うやり方を指しているようだ。特定の業種を狙い撃ちする、というのではなく、2つの物色対象を保有して、物色の流れがどちらに向かっても、手持ち株で値上がりするものがあるように、という考えだろう。そうした投資家の動きも結局、底上げ相場に寄与していると推察される。

もちろん、アメリカ企業の収益改善という裏付けは、しっかりとある。アメリカのファクトセット社が集計している、毎週のアナリストの予想EPS(1株当たり利益、足元から12カ月先)の平均値を、S&P500指数採用銘柄ベースで見ると、前年比の増減益率では、昨年5月にはコロナ禍のため20.1%減益予想にまで落ち込んだものが、2日時点では42.6%増益見通しとなっている。

ただ、これは足元の利益予想値と昨年のコロナ禍での最悪期との比較になるため、「大幅増益だ」と語っても妥当ではないかもしれない。そこでEPS予想値の実額で見ると、2日時点では200.1ポイントとなっており、昨年コロナ禍前のピークだった2020年1月の176.7ポイントを、13%強も上抜けている。

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