レナウン粘り腰の交渉、背景にいた「第2の候補」
5月24日に発表された、レナウンの山東如意集団に対する第三者割当増資は、同日発売の『週刊東洋経済』2010年5月29日号が詳報したとおりの内容だった。レナウン株は24、25日の2日連続でストップ高。中国企業の支援下での再生を、市場はひとまず肯定的に受け止めた。
また27日の株主総会で、現経営陣の再任議案に反対するとしていた筆頭株主のネオライン・ホールディングスも、その意向を取り下げた。まずは順調な滑り出しである。
今回のスキームで目を引くのは、レナウンに有利な条項が多いことだ。山東如意は今後5年間、レナウン株の買い増しも売却も制限される。5年が経過した後でも、売却先はレナウンが指定できる。
もともと、レナウンは今年4月半ばまでは、山東如意に60億円以上の資金を求めていた。ところが資産査定の結果、その金額だと山東如意の出資比率が過半数を超えてしまうことが判明。それをレナウンが嫌ったため、交渉はいったん中断された。
レナウンは山東如意との交渉と並行して、国内の企業再生ファンドである、マイルストーン・ターンアラウンド・マネジメント(MTM)とも接触していた。ラオックスや本間ゴルフに投資していたことで知られるファンドだ。MTMというカードがあったことで、レナウンは山東如意に強気で臨めたわけである。
だが、MTMの資産査定結果は、山東如意より一段厳しかった。そのため、レナウンは再び山東如意に傾斜する。5月中旬、レナウンは山東如意に40億円の第三者割当増資を行うことを決定。出資比率は41%に抑えられた。
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