だからマンション賃料の明暗は分かれた 反発か続落か、ボーダーラインは"築20年"

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これに対して、賃料は「景況感を如実に反映する」とされる。需要がないところで強気の値段設定をしても、借り手からそっぽを向かれるだけ。こうした事情から、マンションオーナーは需給バランスを見極めながら値段を設定することになる。

そのため、現在、築年数が古い物件の賃料が軟調に推移しているのは、「実体経済が上向いていないことを意味する」という見方もできる。東京カンテイの高橋雅之研究員は「消費増税の影響などによる物価高で、消費者は実質所得が目減りしている。このような状況下、賃貸マンションのオーナーは強気に出ることができないのではないか」と分析する。

特殊要因が絡む築浅物件

築浅物件の賃料は上昇しているが、これには特殊な要因が絡んでいるようだ。

都心部では2012年以降において、竣工から間もないタイミングで新築マンションの一部住戸が賃貸に出されるケースが増加した。2015年に改定が予定される相続税への対策や投資目的などで購入された新築物件が、賃貸として出回っているとみられる。

「真新しい物件が出てくると賃料が高くなるのは当然。築浅マンションの賃料が上がっているからといって、需要が増加していると額面どおりに受け取ることはできない」(業界関係者)

東京カンテイの高橋氏は「賃料の強含みが築5年超の物件にも波及してくれば、実際の景気も上向いてきているといえるだろう」と指摘する。実体経済の動向を見るという意味で、特殊要因が影響している築浅マンションよりも、築年数が古い物件の賃料が注目される。

「週刊東洋経済」2014年8月2日号<7月28日発売>の「価格を読む」を転載)

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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