国内6大銀行グループ、前期は株式関係損益や与信関係費用減で業績好転も、今後は与信費用増と実質業務純益減がリスク要因に《スタンダード&プアーズの業界展望》

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 なお、バーゼル3で新たな自己資本基準となる方向にあるコアTier1 の詳細な定義は金融監督当局からまだ発表されていないが、Tier1自己資本から優先株と優先出資証券を控除した額のリスクアセットに対する比率として算出した大まかな水準は6.5%と、09年3月期末の水準を2.7%ポイント上回っている。

ただし、銀行の自己資本の状況は、リスク量とのバランスを踏まえて評価することが重要であり、6グループの自己資本が株価下落により毀損するリスクが大きいことは、引き続きマイナス要因とスタンダード&プアーズは考える。

Tier1自己資本に対する株式保有残高(時価ベース)の比率は、低下傾向にあるとはいえ、44%と国際比較では依然高い。株価の変動は、実現損益が株式関係損益として損益計算書に影響を与えるのみならず、株式を含むその他有価証券の評価損益合計額がマイナスの場合、現在のバーセル2の枠組みの下ではその他有価証券の評価差損(税効果後の数値)としてTier1自己資本を減少させることもあり、財務基盤に与える影響が大きい。このため、リスク対比での自己資本基盤を評価するうえで、多額の株式を保有することは大きなマイナス要因となる。

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