国内6大銀行グループ、前期は株式関係損益や与信関係費用減で業績好転も、今後は与信費用増と実質業務純益減がリスク要因に《スタンダード&プアーズの業界展望》

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 実質業務純益に関しては、市況動向に影響を受けにくく、安定的な収益源となる国内預貸部門の収益が総じて中期的に減少傾向にある。

現在、各種のマクロ経済指標は日本経済が緩やかな回復傾向にあることを示しているとはいえ、大企業・中小企業とも設備投資意欲は弱く、貸し出し需要は低迷している。

2009年3月期には社債やコマーシャルペーパー(CP)など直接調達市場の混乱を受け、大企業向けを中心に貸し出しが増加したが、市場が落ち着いてきた前期には貸出金額(海外向けも含む総額)は257兆円と09年3月期比で6%減少した。

また、国内貸し出しの預貸直接利ザヤも5~10bp程度縮小している。これは円金利の低下といったイールドカーブ要因もあるが、国内の貸出市場での厳しい競合状況を勘案すると、金利上昇局面に転じた場合でも、利ザヤが過去の水準まで改善するかは不透明である。

前期に信用力分析の観点から大きく改善したのは、自己資本の状況である。複数の銀行が普通株による増資を実施したことや、中央三井トラスト・ホールディングスで公的優先株が普通株に転換されたことにより、期末のTier1自己資本比率は10.3%と、09年3月期末比で2.6%ポイント向上した。

Tier1自己資本に占める優先株と優先出資証券の割合も37%と、同14%ポイント低下し、自己資本は質量ともに改善した。

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