ここでいよいよ県都のターミナル・青森駅だ。青森駅は1891年に開業。1908年の青函連絡船の開設から1988年の廃止までの間、長きにわたって本州と北海道を連絡する役割を果たしてきた。
つまり鉄道駅としては、県都のターミナルというよりは青函連絡船との接続ターミナルという意味合いのほうが強かったといっていい。青森駅の駅舎も、1959年に完成したものをずっと使い続けており、“船の時代”の面影を色濃く残した駅だった。
しかし、そんな石川さゆりの歌が聞こえてきそうな青森駅も、2021年3月にリニューアル。青函連絡船からすでに今は新幹線で海峡を渡る時代になった。かつての面影はこうして少しずつ消えていくのだ。
浮き沈み激しい路線
青函連絡船というと、それが役割を終えたのは1988年に青函トンネルが開通したことによる。青函トンネルに向かって青森駅から延びていくのが津軽半島の陸奥湾沿いを走る津軽線だ。もとは大湊線と同じようなローカル線だったが、青函トンネル開通とともに突然の飛躍を遂げる。
北海道を目指す特急列車が走るようになり、非電化ローカル線も青森―新中小国(しんなかおぐに)信号場間で電化されたのだ。おかげで青森―中小国間の電化区間と中小国―三厩(みんまや)間の末端区間でずいぶん格差が生まれてしまったが、北海道新幹線が開通した今では貨物列車が走る以外はもとのローカル線に戻っている。
津軽線も末端で線路が途切れる盲腸線である。だからそこから先の旅をどうするかには頭を悩ませる。北海道新幹線奥津軽いまべつ駅に近い津軽二股駅から乗り合いタクシーに乗って津軽鉄道の津軽中里駅を目指してもいい。
この移動手段、以前は定期運行の路線バスだったのだが、お客の少なさからか2020年に乗り合いタクシーになってしまった。前日までの予約が必要になるので、気の向くままの旅であれば青森駅まで戻るのが正解なのだろう。
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