「ゲリラ豪雨」「線状降水帯」が発生するカラクリ 新旧の平年値から読み解く気候変化

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天気予報では天気が急変する理由として「大気の状態が不安定」と表現しますが、具体的にはどのような状況でしょうか。

それは、地上付近が暖かくて上空が冷たい状況です。

お風呂に入る時を思い浮かべてみるとわかりやすいです。上のほうのお湯は温度が高くて底のほうが低く、湯船に浸かる前にお湯をかき混ぜた経験があるのではないでしょうか。

自然な状態にする過程で天気が急変

空気も水と同じく、上が暖かくて下が冷たいという状態が自然です。つまり、地上付近(=下)が暖かくて上空(=上)が冷たいと言うのは不自然な状態であり、自然な状態にするために対流が起こって積乱雲が発生し、天気が急変するのです。

地上と上空の温度差が大きいほど、不安定になりやすいです。

<要因1:気温の上昇>

天気予報で「○月上旬並み」や「平年より○日早い」などと伝えることがありますが、平年値というのは過去30年間の平均です。

更新されるのは10年に一度で、今年新しい平年値に更新されました。

昨年まで使われていたのは1981年〜2010年の平均で、更新された平年値は1991年〜2020年の平均です。

古い平年値と新しい平年値と比べると、ここ10年の変化の傾向が分かります。

年平均気温は北日本と西日本で0.3℃上昇、東日本は0.4℃上昇しました。

(出所:気象庁HP)

日本の平均気温は長期的に見て高くなっていて、特に1980年代後半からは急速に上昇しています。

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