「Windows 11」が挑むグーグルとの真っ向勝負 6年ぶり大刷新、アプリストアはアマゾンと提携
ウィンドウズはクラウドへの入り口としての色を強めたといえる。
マイクロソフトにおけるウィンドウズの売上高(2020年6月期)は約223億ドルと全社の約16%を占める。一方でクラウドインフラの「アジュール」やオフィスソフトなどをまとめたコマーシャルクラウド部門の売上高(同)は約517億ドルとウィンドウズの2倍以上。もはやウィンドウズの会社ではなく、クラウドの会社だ。
クラウドビジネスの成長のためにも、ウィンドウズの牙城は重要だ。だがアメリカのIDCによれば、10年前に94%だった世界のPC市場でのシェアは、2020年に81%まで下がった。
ウィンドウズの背中を追いかけるのが、11%を占めるアメリカのグーグルの「クロームOS」と、8%を占めるアップルの「マックOS」だ。
グーグル、アップルに突きつけた「アンチテーゼ」
クロームOSを搭載したノートPC「クロームブック」は大半のアプリがクラウド経由で提供される。3万~4万円程度という端末の安さや大規模な管理のしやすさから、学校現場での躍進が目立つ。ここ日本でも小中学校で1人1台の導入を目指し国が補助金を支給する「GIGAスクール構想」の後押しもあり、全国の半数以上の自治体に導入された。
一般消費者向けではアップルのマックOSも健闘する。10年前は世界シェアが4%だったが、直近はその倍だ。新型「マックブック」はイギリスのアームの設計を採用した自社開発のCPU(中央演算処理装置)を搭載し、処理速度や電池の持ちが従来機に比べ大きく改善したとして評価が高い。
PC市場に詳しいIDCジャパンの市川和子アナリストは、「クロームOSのシェアが上がった要因のほとんどは学校向けでの伸びだ。最近は一般消費者向けのマーケティングにも力を入れている。だがマイクロソフトが最も脅威と見ているのはマックOSだろう。若い世代を中心に支持は厚く、最新のマックブックやiMacは性能と価格のバランスもよい」と分析する。
市場での存在感を維持したいマイクロソフト。今回のウィンドウズ11ではグーグルやアップルに対する「アンチテーゼ」と取れる新機能も備えた。それが「根底から作り直した」(パネイ最高製品責任者)という、ウィンドウズ向けのアプリを取りそろえる「マイクロソフトストア」だ。
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