豊田章男社長が未来への投資に「私財50億円」 トヨタ自動車の変革に異例のコミットメント

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2020年1月のアメリカの家電見本市で、実験都市「ウーブン・シティ」構想を発表した豊田章男社長(編集部撮影)

「当社取締役社長豊田章男が、当社連結子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社に対して5000百万円の金銭出資をしています」

トヨタ自動車が6月24日に開示した有価証券報告書。その中に、上記のような驚くべき記載があった。

ウーブン・プラネット・ホールディングスは、ソフトウェアなどモビリティ関連のさまざまな開発を行うトヨタの子会社。有価証券報告書の記載は、豊田氏が私財を投じ、この会社に50億円出資していることを意味する。

ウーブン・プラネット・ホールディングスのほかにウーブンと名の付く会社は3社あり、事業会社や投資ファンドとしての役割を担っている。

“a significant amount of my own money”

私財を投じたことは昨年、本人が明らかにしていた。

ウーブン・プラネット・グループの前身である自動運転向けソフトウェアの開発会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント」(通称TRI-AD)の組織再編が発表された2020年7月28日、豊田氏は従業員の前で英語でスピーチを行った。

その中で、曾祖父の豊田佐吉氏が自動織機を発明し、佐吉氏の長男である豊田喜一郎氏が車作りに私財を投じたことに触れ、「私も新しい会社に豊田章男個人として、かなりの額の私財(a significant amount of my own money)を投じることを決めました」と述べていた。

社員からその意味を問われると、「喜一郎は佐吉から継承したものをモデルチェンジしてトヨタ自動車をつくった」としたうえで、「自分のファミリーの資産を未来に向けて投資し直す。資産をモデルチェンジし、自分自身のコミットメントを示していこうと思った」と説明した。それが今回明らかになった50億円の出資だ。

ウーブン・プラネット・ホールディングスの資本金は約272億円(2021年5月時点)で、トヨタは過半を出資していることを認めるが、章男氏以外の出資者については「開示できない」(広報)としている。

【2021年6月25日18時00分追記】初出時の資本金を上記のように修正いたします。

事業会社のウーブン・アルファでは、トヨタの車両生産子会社の工場跡地(静岡県裾野市)に、自動運転や人工知能など未来の技術を開発する実験都市「ウーブン・シティ」をつくる。第一期の工事は2025年ごろに完了する見通し。ウーブン・シティは「自動車会社からモビリティカンパニーへの変革」を目指すトヨタの基幹事業となる。

果たして、創業家の資産はどのようにモデルチェンジするのだろうか。

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木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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