1年で激変!「命令」をやめた組織で起きたこと 米海軍で屈指の潜水艦艦長が見せた圧巻の改革

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すると、ペレーズ艦長が私の横にやってきてこう言った。

「なら、やればいいじゃないか」

彼がそう言ったのは、ソナーでピンを打つには艦長の許可がいるとわかっているからだ。

私が気まずく感じているのを察して、艦長はさらにこう続けた。

「君がひと言、『艦長、訓練のためにソナーでピンを打ちます』と言えばいいじゃないか」

私は思い切って口を開いた。

「艦長、訓練のためにソナーでピンを打ちます」

艦長はひと言 「よろしい」と答えてその場を立ち去った。1人残された私は、初めて艦を動かす責任を担うことになった。

それからの30分 、ソナー室にいる全員が、代わる代わるソナーでできるあらゆる組み合わせを使ってピンを打ち、海面上で動いているものの正体を探った。ソナー員はいつもと違う操作を楽しんでいた。ソナー班の班長は、班員の訓練ができて喜んでいた。私も楽しかった。

一緒に働くチームを指揮する権力と能力が自分にあるという実感。それは私にとっての強壮剤となった。それからは、当直に就く時間を心待ちにするようになり、当直でない時間は勉強にあて、自分のチームでの訓練の新しいやり方を思い描いた。

ウィル・ロジャーズでの挫折

その後数年間は乗艦勤務から離れたが、1989年、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦、ウィル・ロジャーズの機関科長として再び海に出ることになった。そのときの私は、リーダーシップのことはある程度わかっていると思っていた。だが実際は違った。

ウィル・ロジャーズでの勤務は散々だった。艦内は、絶望的なまでにトップダウン方式のリーダーシップに支配されていた。誰もがが、そこから逃げ出したかった。

その状況を変えるため、私は乗員がもっと艦の働きに関わるようにしたいと考え、権限の分散を試みた。私がそれまでに学んだ「部下を鼓舞し権限を手にできる」あらゆる方法を駆使したが、彼らの仕事ぶりや士気を高める効果はどれにもなかった。むしろそのせいで、もっと多くの問題を抱えるようになった。

何がいけなかったのか、私にはまったくわからず、しばらくすると、部下に分散させた権限を自分の元へ戻した。彼らだけにプロジェクトを任せることも、何かの決断を委ねることもいっさいしなくなった。

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