東京東部「荒川大氾濫」への備えはできているのか 最悪シナリオへの広域避難にはいまだメドつかず
前日の12日午後9時17分、国土交通省荒川下流河川事務所は、岩淵水門を閉めた。「豪雨になると荒川の水位は隅田川より高くなる。ふだん水門は開けていて、水は行き来し、水面の高さも均等だ。水位がA.P.4mになると水門を閉め、隅田川に危険が及ばないようにする」(宮本智・総括地域防災調整官)という。現在の岩淵水門は1978年に完成したが、それ以降閉められたのは、この時で5回目、12年ぶりだった。
横から見た水位だけではなく、記事冒頭のように上空からの写真を見ると、台風19号時の川の増水ぶりがよくわかる。荒川下流域では堤防の決壊や浸水被害はなかったものの、豪雨時の河川の脅威を改めて感じる。(外部配信先では写真を全部閲覧できない場合があります。その時は東洋経済オンラインのサイトでご覧ください)
江戸川区では、都内最多の3万5000人が避難
2019年10月の台風19号について東京都がまとめた避難者情報によると、避難者人数が最も多かったのが、江戸川区。10月12日午後9時の時点で、3万5040人が計105カ所の避難所に避難した。
江戸川区は、東は江戸川、西を荒川に囲まれ、土地の7割が海抜ゼロメートル地帯。このため、水害対策には特に力を入れてきた。この時は、急な状況変化に対応し、早い段階で避難勧告に踏み切った。山口正幸・危機管理部長に詳細を聞くと――。
「10月11日の時点での気象庁からの情報は、荒川流域の3日間総雨量が400ミリを超える可能性あり、というものでした。400ミリの雨では荒川の氾濫までにはいかないだろう、と予想しましたが、『自分の家にいるとちょっと怖い』という区民からの問い合わせも増えていたので、会議場などの施設を使った自主避難場所を開設することになりました」
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